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手術が必要ない!?戸籍の性別変更ができる国と日本の動向

性別変更に手術が必要ない国と日本
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戸籍の性別変更をするためには日本では性別適合手術が不可欠ですが、世界的に見るとそうではありません。

性別変更ができる国を見ると、性別変更の条件に性別適合手術などの治療を撤廃したり、医師の診断書すら必要ない国もあります。

ここでは海外に目を向け、手術要件を撤廃した性同一性障害の戸籍の性別変更ができる国についてまとめています。

他にも日本での性同一性障害の扱いや、手術要件に関する動向についても触れています。

日本は性同一性障害の戸籍変更に手術が必要

現時点では日本での戸籍の性別変更に、性別適合手術が必要です。

手術以外にもホルモン注射や診断書や子供がいないといった、いくつかの条件をクリアしないと戸籍の性別変更ができません。

性別変更をしたくても手術は体への負担が大きく、費用もネックになるのではないでしょうか。

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性同一性障害とは少し違いますが、性別適合手術なしで戸籍の性別変更が認められた例があります。

2人の性分化疾患と診断された体は女性で性自認が男性に対し、手術なしで性別変更を認めています。

性分化疾患は胎児期の頃から男性ホルモンが過剰に分泌されるものです。

この場合、戸籍の性別変更は性同一性障害特例法とは関係なく、性分化疾患としての申立てなので、戸籍の性別が誤りで訂正という形になっています。

日本では性別変更に手術(性別適合手術)が必要ですが、令和5年10月25日に性別適合手術(不妊要件)に関して「違憲」との判決が出ています。

しかし、手術なしで性別変更が認めらるようになったわけではありません。

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全世界は196カ国(外務省)あります。

内閣府の特別機関である日本学術会議によると、21世紀に制定・改正されたヨーロッパ・中央アジア54ヶ国の法的性別変更法のうち、41ヶ国が生殖不能要件をもたないとのことです。

全世界を見ると性別変更できる国はかなり限られていますが、今回の判決により、41カ国のように日本も手術要件がなくなる流れがあります。

手術なしで戸籍変更ができる国

海外では性同一性障害の戸籍の性別変更に性別適合手術を必要としない国があります。

手術だけでなく、医師の診断書が必要ない国や、未成年でも戸籍の性別変更ができる国もあります。

わかる範囲内でそれぞれの条件別に戸籍変更できる海外の国をまとめています。

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戸籍変更に性別適合手術が必要ない国

アメリカの一部(7州)、メキシコの一部(5州)、カナダ、アルゼンチン、コロンビア、デンマーク、アイルランド、スウェーデン、ノルウェー、フランス、英国、スペイン、マルタ、ボリビア、エクアドル、ウルグアイ、ニュージーランドなど

医師の診断書が性別変更に必要ない国

アルゼンチン、デンマーク、マルタ、アイルランド、フランス、ノルウェー、ベルギー、ギリシャ、ポルトガル、ルクセンブルクなど

未成年者でも法的性別変更ができる国

16歳から性別変更できる国

オランダ、ノルウェー、マルタ、アイルランド

ノルウェーでは、6歳以上16歳未満も、親が同行して手続をすれば法的性別変更の請求ができます。

マルタでは、16歳未満でも、裁判所が法的性別変更に同意すれば性別変更ができます

アイルランドでは、両親の同意と医師の診断書があれば、16歳以上18歳未満の人の年齢要件が免除されます。

18歳から性別変更できる国

スウェーデン、英国、スペイン、デンマーク、アルゼンチンなど

スウェーデン、英国、スペイン、デンマークは、法的性別変更の年齢要件と成年年齢が一致している国です

アルゼンチンは18歳未満でも、本人の意思を明らかにし、法定代理人を通じて性別の修正を請求することができます。

パスポートのサードジェンダー表記が認められる国もあります。
カナダ、アルゼンチン、オーストラリア、デンマーク、オランダ、ドイツ、マルタ、ニュージーランド、パキスタン、インド、ネパール、バングラデシュ、アイスランド、アメリカでは、男女以外に第三の性別としてX(Xジェンダー)やO(other)の表記が認められています。

手術なしで戸籍変更ができる国の条件

手術なしでも、ホルモン治療や医師の診断書を性別変更の要件にしている国が多いです。

性別適合手術が保険適用されたり無料の国もあります。

いくつかの国を例に見ていきましょう。

アメリカ

ニューヨーク州では認可された医療機関からの診断書や意見書(供述書)があれば、性別変更の申請ができます。

英国・スペイン

性別変更に英国もスペインも手術要件がないですが、スペインでは2年間のホルモン注射が必要です。

スコットランドだと、医師の診断書や意見書、最低2年間望む生別での生活が必要です。

手術の必要はないですが、手術を受けない理由を示す必要があります。

>>equality-network(スコットランド)

アイルランド

自己申告に基づき、法律上の性別変更ができます。

18歳未満は保護者の同意、医師の意見書が必要です。

>>citizensinformation.ie

マルタやノルウェーも、トランスジェンダーの人が申請するだけで、医師や国(政府)の介入なしに性別変更が可能です。

カナダ

全集・準州で手術要件が撤廃され、医師の診断書や意見書があれば性別変更が可能です

性別適合手術や乳腺摘出術など、いかなる手術も必要としません。

>>Changing your sex designation on your birth registration and birth certificate(オンタリオ州)

ニュージーランド

乳腺摘出と望みの性別で生活(リアルライフテスト)が必要です。

>>Change the registered sex on your birth certificate|New Zealand Government

ニュージーランドは2021年に家庭裁判所の許可は必要なく、行政手続きだけで性別変更ができるようにすることが可決されています。

今後は性別変更に家庭裁判所へ申立てる必要もなくなるようですね。

日本も戸籍変更に手術要件を撤廃する動きがある

世界的に性同一性障害は疾病という扱いではなくなり、手術要件のない国も増えています。

日本でも戸籍の性別変更の条件である手術を撤廃する動きがあり、すでにトランスジェンダーの性別に関する配慮はいくつかありますね。

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性同一性障害特例法に関する提言

2020年に日本学術会議が提言しているのですが、その中に性同一性障害特例法や性別既済変更の制定に関する内容が含まれています。

>>提言「性的マイノリティの権利保障をめざして(Ⅱ)―トランスジェンダーの尊厳を保障するための法整備に向けてー」のポイント|日本学術会議

提言では、性同一性障害特例法を廃止し、性別記載の変更手続きに係る新法を制定するべきであるというもの。

2003年に性同一性障害特例法が成立したため性別変更ができるようになり、この特例法によって性別変更するためには手術が必要不可欠となっています。

2006年にはEUを中心に法的性別変更の要件緩和が進み、日本の特例法は国際基準から取り残された状態です。

戸籍の性別変更のハードルが高すぎるという指摘も多いようですね。

性同一性障害の扱いの変更

戸籍の性別変更に必要な手術要件だけでなく、性同一性障害という表現や医学的な区別も変わり、脱病理化になりつつあります。

これまで精神疾患として性同一性障害が部類され、診断や治療をベースに医学モデルの法律が整備されました。

しかし2013年にアメリカ精神医学会の診断マニュアルDSM5で、性同一性障害は性別違和という名称に変更されています。

さらにWHOの国際疾病分類ICD-11で性同一性障害を精神疾患から削除し、性の健康に関する状態という分類で性別不合とされています。

性別違和(性同一性障害)が精神疾患から外されるため、既存のガイドラインも見直されるため今後の手続き(カウンセリングや治療の流れ)が変更されるかもしれません。

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※Gender Incongruenceの日本語訳として厚生労働省は「性別不合」との仮訳を示し、3年ほどかけて正式な和訳を検討するようです

手術なしで戸籍の性別変更ができる国のまとめ

性同一性障害で戸籍の性別変更をしようとすると手術が必要ですが、手術要件の撤廃の動きもあります。

まだまだ日本ではすぐにそうなるということはないでしょうけど、将来的には海外と同じように戸籍の性別変更に必要な手術要件がなくなる予感です。

戸籍の手続きも簡素化されるかもしれませんね。

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