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古代から!戸籍制度の歴史をまとめてみた

戸籍制度の歴史
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普段生活する上で、「戸籍」を意識することは、ほとんどなのではないでしょうか。

戸籍を意識するときは、結婚やパスポートの取得など、限られた機会に留まるはずです。

しかし、日々の生活に戸籍が欠かせないこともまた事実です。

戸籍は行政支援や身分証明書の発行などに結び付いているからです。

影は薄くとも必要不可欠な戸籍の制度はどうやって成り立って来たのでしょう。

その歴史をまとめてみました。

いくつかの資料を参考にしたのですが、間違いがあったらごめんなさい!

ゆるく読んでみてくださいね。

戸籍制度の歴史は日本が最初ではない

戸籍制度の歴史を見ると、戸籍制度というのは古代中国から日本へ入ってきました。

戸籍制度は日本特有なんて思っていましたが、始まりは違ったようですね。

時代によって戸籍のあり方は異なり、今の戸籍制度の仕組みが昔からあったわけではありません。

海外に目を向けてみると、戸籍制度はかなり珍しく、取り入れている国は限られています。

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そもそも戸籍とは何なのか?

そもそも戸籍とは一体何なのか?ということについて少し触れます。

ご存じの方は飛ばしてくださいね。

戸籍をわかりやすく表現するのであれば、「その人の一生と親戚関係を記録し、日本人であることを証明するもの」となります。

つまり、その人がいつどこで生まれ、誰と結婚し、子供をもうけたのか。

そうしたことが、戸籍に載っているのです。

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戸籍を構成するのは、筆頭者とその配偶者、そして未婚の子供になります。

筆頭者は戸籍の先頭に載る人物であり、一家は筆頭者の姓を名乗ります。

夫の姓を名乗っていれば夫が筆頭者、妻の姓を名乗っていれば、妻が筆頭者という訳ですね。

戸籍から抜けることを除籍と言い、2種類のパターンがあります。

一つは構成者の死亡、そして二つ目は子供の結婚です。

子供が結婚すると、夫もしくは妻になった人と共に、新しい戸籍を作ることになるのです。

戸籍の基礎知識を押さえたうえで、次の項目から戸籍の歴史をみていきましょう。

戸籍の歴史1~戸籍の原点~

戸籍の歴史には、いくつかの区切りがあります。

ここでは初期的な戸籍、古代から中世にかけての歴史を見ていきましょう。

古代中国から日本へ

戸籍とは、一体いつ、どこで生まれたのでしょうか。

その歴史を遡ると、遥か昔7世紀の中国にまでたどり着きます。

7世紀の中国には、栄えた古代王朝・唐がありました。

唐は現在でも有名な古都・長安を首都としており、戸籍の原点はここで生まれたとされています。

学校の授業などで、長安の地図(のようなもの)を見たことがあるかもしれません。

その図を思い出してみましょう。

長安という都の特徴は、キレイに東西南北に走る通りにあります。そして、建物は通りに沿って区画分けされていました。

幾つかの建物で構成された一区画、これを「戸」と呼びます。

長安ではこの「戸」を一つの単位として、居住者の登録を行っていました。

そして、居住者の登録そのものが「籍」という言葉で表され、「戸」に住む人々の登録、これが戸籍の成り立ちなのです。

場所は代わり、同じく7世紀・奈良時代の日本は、同時代に栄えていた唐を目標としていました。

誰もが聞いたことのある「遣唐使」は、この時代に行われたものです。

遣唐使たちは、様々なものを唐から持ち帰ってきました。

それは品物に限らず、文化や都の作り方にまで及び、そしてその中に、「戸籍」も含まれていました。

670年の天智天皇の時代に、日本で初めて国内全ての人を対象とした「庚寅年籍(こうごねんじゃく)」が作られました。

これにより、人々は帳簿内で管理されることとなり、この戸籍は税金の徴収などに用いられていたようです。

江戸時代的戸籍「宗門人別改帳(しゅうもんにんべつあらためちょう)」

戸籍の歴史をみると、奈良時代に成立した戸籍という制度。

次に大規模な戸籍がまとめられたのは、江戸時代に入ってからのことでした。

(豊臣秀吉が行った太閤検地を戸籍制度に数えることもありますが、今回は省きます)

「禁教令」という言葉をご存知でしょうか。

これは特定の宗教の信仰や布教を禁止するもので、日本ではキリスト教を対象として江戸時代の中期に発令されました。

この禁教令に応じて作られたのが、「宗門人別改帳」です。

これは「宗門改帳」と「人別改帳」という別々の帳簿が一つになったものです。

宗門とは宗教のことで、そして人別改とは身分別の人口調査を指します。

これが一つになった宗門人別改帳には、人々の名前や年齢・家族構成と共に、その人がどこのお寺の檀家であるかなどが記されていました。

つまり、宗門人別改帳は個人の宗教の管理までできる、江戸時代的戸籍なのです。

江戸時代、日本には寺檀制度(檀家制度)あり、徳川幕府がすべての日本人はどこかの寺の檀家となることを義務づけた制度です。

そして寺請制度というキリシタンではないことの証明を寺から請ける制度により、宗門人別改帳が定着していきました。

この宗門人別改帳は人々が土地を移動した際には、新しい土地での届け出が必要とされていました。

今で言う住民票の移動のようなものですね。

その目的はともかくとして、相当に正確な戸籍制度を取り入れていたということができるでしょう。

戸籍の歴史2~現代戸籍の始まり~

古代から近代の戸籍の歴史について見てきました。

ここからは、古代・近代的な戸籍から現代戸籍に至る歴史・過程を見ていきましょう。

「壬申戸籍(じんしんこせき)」の登場

戸籍法ができたことで戸籍へと移行していきます。

現代戸籍の開祖とも言えるのが、明治時代(明治5年)に作られた「壬申戸籍」というものです。

壬申戸籍は1871年の戸籍法に基づき、明治政府によって制定されました。

この戸籍は全国一律で作られたもので、人々は身分の分け隔てなく、住んでいる場所によって登録されました。

住んでいる場所とは「家」そのもの。

つまり一件の家を「戸」と考え、同じ家に住む人同士で戸籍を作ったのです。

壬申戸籍では、「戸主」という存在があります。

これは、今の戸籍でいう筆頭者のようなものと考えると良いでしょう。

そして、戸主と同じ家に住む人は、皆同じ戸籍に記録されました。

先に壬申戸籍は現代戸籍の開祖と書きましたが、この二つには大きな違いがあります。

その違いとは、「同じ家に住んでいれば、その関係性は問われない」ということです。

今の戸籍は、同じ家に住んでいたとしても、夫婦や子といった場合でなければ別々の戸籍になります。

しかし壬申戸籍では、血縁関係の無い居候や使用人も同じ戸籍に入っていたのです。

これは、壬申戸籍が江戸時代の宗門人別改帳を参考にして作られていることからくるものです。

また、戸籍の作成も江戸時代と同じく、6年ごとの一斉調査によって行われていました。

そのため、かなり現代戸籍に近いものとはいえ、間違いも多かったと考えられています。

壬申戸籍の成立は、明治の日本に大きな変化をもたらしました。

戸籍制度により、政府は全国民の管理が可能となりました。

しっかりとした管理ができるということは、納税や徴兵も行いやすいということです。

明治時代は「富国強兵(ふこくきょうへい)」をスローガンとした時代。

このためにも、戸籍は欠かせないものだったのです。

戦後、現代の戸籍制度へ

1945年8月15日に太平洋戦争が終結しました。

(連合国軍の占領統治が終了した1952年4月28日をもって本当の終戦とすべきだという意見もみられますが)

現在の戸籍制度は、この戦争終結に大きく関わっています。

戦後、日本は有名な憲法9条を含む「日本国憲法」を制定しました。

この憲法は、「戦争をしない」・「国民主権」・「個人の尊重」を特徴としています。

そして、日本国憲法の制定と共に民法も大きく変わっていきました。

かつての民法には「家制度」が含まれていました。

家制度とは、戸主や家長と呼ばれる人物に強い権限を与えていた法律です。

この家制度は新民法への移行に伴い廃止され、結果として、戸籍制度も見直されることとなったのです。

現代の新戸籍法が制定されたのは1947年12月22日で、この戸籍制度には大きく分けて3つの特徴があります。

それは、「一組の夫婦と未婚の子供が同一の戸籍に入る」ということと、「戸籍の構成員は同じ苗字を使っている」こと。

そして、「戸籍を構成するのは、親と子の2代のみである」ということになります。

つまり、祖父や祖母とは別々の戸籍である、ということになります。

「家」を基本として記録していたかつての戸籍とは大きく違うということが分かりますよね。

この新戸籍法は、細かな変更を加えられながら、基本を変えずに使われ続けています。

今、「夫婦別姓」が議論されていますが、これが認められた時は新戸籍法も大きく変わるのかもしれませんね。

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戸籍制度の歴史のまとめ

戸籍制度の歴史をなるべく簡単にまとめました。

歴史なので複雑な部分もあるのですが、個人的にとても興味深かったです。


<参考文献>
下夷美幸(2019)「日本の家族と戸籍 なぜ『夫婦と未婚の子』単位なのか」東京大学出版会
今津勝紀(2019)「戸籍が語る古代の家族」吉川弘文館
利谷信義・鎌田浩・平松紘編(1996)「戸籍と身分登録 シリーズ比較家族7」早稲田大学出版部

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