家系図を作るためには戸籍を集めることは欠かせません。
役所で手続きをして戸籍を請求しますが、家系図を作るためには広範囲の戸籍を集めないといけないので、その枚数もかなり多くなります。
多くの古い戸籍をさかのぼって集めるので、家系図作りは一苦労です。
しかし、簡単に家系図を作るための戸籍を集める方法があります。
この記事では、家系図をつくるための戸籍の請求方法がすべてわかります。
戸籍を使って家系図を作るためには、どんな戸籍が必要なのか、どのようにして請求するのか、書類の書き方などを解説します。
簡単!家系図に必要な戸籍の集め方
戸籍は家系図を作るうえで超重要です。
しかし、家系図を作るとなると歴代の戸籍を全てさかのぼって、全ての戸籍を集めるのはかなり根気のいる作業。
戸籍の異動があれば、古い戸籍が保管されている各地の役所に行って、一つずつ戸籍を請求しないといけないのでかなり面倒です。
どんな戸籍を集めればいいのか、家計図作りでは悩むところだと思います。
ですが、誰でも迷わずに簡単に家系図に必要な戸籍を集める方法があります。
- 窓口での請求時に「家系図に必要な直系の戸籍を全て発行してください」と伝える
- 郵送で全ての戸籍を請求する
この方法なら、いちいち役所へ行かなくても手っ取り早く家系図を作るための全ての戸籍が請求できます。
具体的な手続きや申請書の書き方は後述していますが、役所の窓口なら口頭で、郵送での請求なら申請書の請求理由の欄に記載して戸籍を請求します。
ただし、一カ所の役所に家系図に必要な全ての戸籍が保管されていることは稀なので、請求する役所でその都度伝える必要があります。
戸籍で家系図を作るためには、複数の役所へ戸籍を請求することになりますが、上記の方法で簡単に請求できるのでかなり手間が省けます。
お金をかけるなら行政書士などの専門家に依頼すれば、こちらも簡単に戸籍を集めることができます。
戸籍で家系図を作る手順
家系図を作るためには戸籍を集めますが、どのような流れで戸籍を集めて家系図を作るのでしょう。
戸籍で家系図を作るために、戸籍を集める手順を確認しておきましょう。
1.戸籍の筆頭者を確認
家系図を作るためには、まずは必要な戸籍を請求することから始めます。
戸籍を発行するためには、戸籍の筆頭者が誰なのかということを把握しておかないといけません。
筆頭者がわからないと役所で戸籍を調べることができないので、あらかじめ調べておきましょう。
筆頭者とは戸籍の最初の欄に記載されている者を指し、一般的に未婚なら父親もしくは母親が筆頭者です。
2.本籍地の役所で戸籍を請求
戸籍で家系図を作るためには、新しい戸籍から古い戸籍にさかのぼって集めるのが確実です。
そのためまずは今の戸籍を集めるために、本籍地のある役所で戸籍謄本(全部事項証明書)を請求します。
戸籍謄本には2世代まで記載されているため、個人のみ記載されている戸籍抄本は不要です。
戸籍謄本は「本籍地の役所で発行できるすべての戸籍」を請求しましょう。
本籍地で請求した戸籍謄本には父と母の名前が書かれており、今度はその父と母の戸籍謄本を本籍地の役所で請求します。
さらに、今度は祖父と祖母の名前がその戸籍に書かれており、次の戸籍謄本を請求します。
この繰り返しで、本籍地のある役所へ戸籍を請求して、戸籍から家系図を作ります。
戸籍は種類があり、家系図で使うのは戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍の3つです。
- 戸籍謄本
- 除籍謄本
- 改製原戸籍
- 仁甲戸籍
現在使われている戸籍
(父・母・子の2世代まで記載)
転籍や死亡などにより、在籍者が空っぽになった戸籍
家制度によって昭和30年まで使用されていた戸籍
(父・母・子・孫・祖父母・兄弟のなど家単位で記載)
最も古い戸籍で現在は取得ができない
現在の戸籍として戸籍謄本、先祖はすでに亡くなっているので、誰も在籍していない戸籍がある=除籍謄本が必要です。
さらに戸籍をさかのぼるうえで、法律によって戸籍が新しく作り替えられているため、改製原戸籍も請求します。
これらは家系図を作るうえで請求する戸籍ですが、どんな戸籍も戸籍が請求できる場所は本籍地の役所だけです。
戸籍を請求するために、筆頭者と同時に本籍地も把握しておきましょう。
筆頭者や本籍地がわからない方は下記を参考にしてくださいね。
3.請求した戸籍の情報を解く
戸籍には「いつ作られた戸籍なのか」「前の戸籍の場所(従前の本籍地)」などの情報が書かれています。
家系図を作るためには、この「前の戸籍の場所」を請求した戸籍から読み取って、父・母・祖父・祖母と戸籍を順にさかのぼります。
戸籍の異動(移動)はいくつかの文言から確認できます。
- 婚姻や離婚
- 転籍や分籍
- 改製(戸籍法の改正により新様式の戸籍を編製)
- 縁組
- 分家・家督相続・廃家
(古い戸籍の場合はこれらが起こる前の戸籍にさかのぼる)
これらの記載がないか、請求した戸籍を確認しましょう。
請求した一つ前の古い戸籍にしか記載されない事項もあるので要注意です。
対象者(欲しい戸籍)が縁組や死亡などにより戸籍から除かれていることがわかれば、次は除籍される前の戸籍を集めます。
古い戸籍には家族単位で載っているので、一気に数世代が判明する場合もあります。
下記の記事に戸籍に記載されている内容の詳細についてお伝えしているので、判読の参考になると思います。
戸籍で家系図を作るための手続きと書類の書き方
戸籍で家系図を作るために、どのようにして戸籍を取り寄せるのか。
具体的な役所での請求の手続きや請求書の書き方を解説します。
戸籍を請求できる直系や傍系の違い
相続や家系図を作るといった理由を問わず、戸籍の請求は誰でも行えるものではありません。
戸籍は原則的に直系が請求することができますが、傍系も取り寄せが可能です。
ただし、傍系が戸籍を取り寄せるためには「正当な請求理由」「請求理由の証明」や「委任状」がないと請求できません。
直接的に親子関係で繋がっている系を言い、父・母、祖父・祖母、曾祖母・曽祖父、子ども、孫、ひ孫などが直系です。
傍系とは直接的に親子関係で繋がってない系を言い、兄弟姉妹、叔父叔母、従兄弟、甥、姪、大叔父大叔母、などです。
あなたが直系だけでなく傍系も含めた広範囲の家系図を作るなら、傍系にあたる親戚などに協力してもらい、戸籍を取り寄せてもらうか、委任状を書いてもらってご自身で集めましょう。
正当な請求理由の証明や委任状は、戸籍の申請の手続きをする役所の規定に従って申請に必要書類を用意します。
また、夫や妻は「配偶者」という位置づけなので、直系にも傍系にも含まれません。
配偶者には配偶者の家系の直系と傍系があります。
戸籍の請求に必要な書類と手続き
- 手続きする場所
- 必要書類
- 費用(発行手数料)
・本籍地の役所
(市民課や戸籍課)
・戸籍証明の交付請求書
(役所に備え置き・役所のホームページでダウンロード可)
・印鑑
(申請者の名前が自署の場合は不要)
・本人確認書類
運転免許証・パスポート・マイナンバーなど名前と送付先の住所がわかるもの
・戸籍謄本450円
・改製原戸籍750円
・除籍謄本750円
戸籍の請求書は本籍地がある役所の備え置き、もしくは役所のホームページでダウンロードできます。
「全国自治体検索マップ」を活用すると便利です。
戸籍の発行手数料は平成11年まで一律の費用でしたが、それ以降は各自治体によって異なります。
今のところまだ一律(1通450円~)の傾向ですが、今後、手数料が変動する可能性もあります。
ご自身の戸籍のみならマイナンバーカードがあれば、コンビニで発行できます。
郵送で戸籍を請求する手続き
- 手続きする場所
- 必要書類
- 費用
・本籍地の役所
・戸籍証明書の交付請求書(郵送用)
(自分で作成するか自治体のサイトからダウンロード)
・請求する戸籍と自分の関係がわかる資料
・本人確認資料のコピー
(運転免許証・パスポートなど)
・返信用封筒
(取り寄せる戸籍の部数が多くなる場合はA4サイズの大きめの封筒を準備)
・定額小為替1枚450円~
・返信用切手84円~
(部数が多くなる場合は94円)
戸籍の請求書は各役所のホームページからコピーできます。
紙に手書きで必要事項を書いて、戸籍の請求書を作成することもできます。
定額小為替は郵便局の窓口で購入し、戸籍の発行手数料として用意します。
家系図を作るための戸籍が1カ所の役所でどれだけの部数を発行できるか不明なので、定額小為替の費用を役所に事前に問い合わせましょう。
もしくは多めに1万円分くらいを購入して同封します。
定額小為替が足りない場合は役所から連絡が来ますが、使われなかった分は返送されます。
余っても2回目以降の戸籍の請求に使えますし、現金に換えることもできます。
家系図を作るためには、祖父母の戸籍など自分が載っていない戸籍の請求も行いますが、その際にたとえば祖父の戸籍を請求するなら祖父とあなたとの関係がわかる資料が必要になります。
自分の戸籍から順にさかのぼって集めてきた、戸籍のコピーを用意するとわかりやすいです。
父方の祖父の戸籍をとるなら、「自分の戸籍+父親の戸籍」を用意します。
父親の戸籍には父親の親=祖父の名前が記載されており、あなたと祖父のつながりを証明できます。
請求書などの書類に不備がなければ、スムーズにいけば1週間~10日程度で戸籍が郵送されます。
戸籍の請求書の書き方
申請書は役所によって異なりますが、郵送用も窓口用も書く内容は同じです。
重要な部分を赤で記入しています。
参照:墨田区
1.請求者の欄の書き方
請求する人の住所・名前・連絡先を記入します。
2.請求するもの
欲しい戸籍の本籍地と筆頭者名を書きます。
本籍地と筆頭者(戸主)の情報から戸籍を探すため、間違いのないように書きましょう。
<筆頭者氏名>
家系図は複数の世代の戸籍が必要なので、複数の戸籍をまとめて請求する場合は筆頭者の名前の後ろに「他」と書いておくとスムーズです。
<請求者と筆頭者の続柄>
筆頭者とあなたとの関係を書きます。
筆頭者本人なのか、筆頭者の配偶者なのか、筆頭者の子供なのかなど。
<戸籍の種類>
家系図を作るために集めたい戸籍の種類にチェックを入れます。
全部事項証明書(戸籍謄本)、除籍全部事項証明書(除籍謄本)、改製原戸籍の3つを選択し1通と記入します。
3.戸籍の使用目的(請求理由)の欄の書き方
戸籍を請求する理由を書きます。
その他にチェックを入れて、請求理由は「家系図を作るため」と記載します。
「家系図を作るため、直系のすべての戸籍が必要」と記入しておくといいでしょう。
「家系図を理由にしても大丈夫?」と不安になる方もいるかもしれませんが、戸籍が請求できるのでご安心ください。
ウソを書くと罰せられてしまうので、正直に書きましょう。
家系図の戸籍を請求する際の注意点と対策
家系図を作る中で「これってどうしたらいいの・・?」と思うような場面がよくあります。
その際の対処法をまとめました。
請求した戸籍の文字が読めない
古い戸籍だと、文字が読めないということもあります。
くずし字や異体字などの読みづらい文字の判別は、くずし字辞典(図書館に置いている)を使うと判別できます。
また、戸籍の字が読めない以外に、戸籍の誤字脱字もあります。
今の戸籍は電子データ化されていますが、古い戸籍は手書きです。
戸籍の誤字が原因で請求できないということもあり得るので、役所へ問い合わせるのが確実です。
戸籍謄本の文字が読めない部分に線を引いてコピーしたものを、その戸籍を発行した本籍地の役所へ郵送して問い合わせることもできますが電話で聞くのが早いです。
戸籍の発行元(本籍地の役所)に連絡して、戸籍の担当部署につないでもらいます。
戸籍について問い合わせた際に、判読してもらう戸籍の筆頭者(古い戸籍なら戸主)を必ず聞かれるので伝えましょう。
戸籍をさかのぼれる年数は限定される
家系図を作るためには戸籍を全てさかのぼりますが、戸籍の保管期間があることを念頭に置いておきましょう。
戸籍の保存期間は転籍や死去などで戸籍が無くなってから150年です。
戸籍がさかのぼれるのは、スムーズにいけば200年前の明治19年式の戸籍まで。
江戸末期から明治初期の先祖がわかり、両親を1代前とすると平均で5代前までさかのぼれることが多いようです。
以前は戸籍の保管期間は80年でしたが、平成22年に制度が変わっています。
平成22年の時点から80年前ということは昭和5年。
ということは、明治19年から昭和5年までの44年間の戸籍は廃棄してもいいいとされていたことになります。
ただ、いちいち戸籍を整理して廃棄しているなんていう役所はほとんどないと考えていいです。
役所の職員さんも忙しいので、そのまま古い戸籍を保管しっぱなしであったことが多いようですね。
どこまでの戸籍をさかのぼれるのかは人によりますが、戸籍でさかのぼれない部分は現地調査などで可能です。
家系図の制作を得意とする行政書士などの専門家へ依頼しましょう。
戸籍にある昔の住所がない
請求した戸籍に書かれている住所が昔の名前だったり、合併で戸籍に記載されている住所がなくなっていることがあります。
住所が不明だと本籍地を特定できないため、戸籍の請求ができません。
また、本籍地を間違えてしまうと円滑に戸籍の請求ができないので、このような場合は戸籍に書かれている住所をネットで検索してみましょう。
戸籍に書かれている旧住所の名前で検索すると見つかることがあります。
また、戸籍の請求の際、請求書に記載する本籍地は昔のままの戸籍に書かれている本籍地を書きます。
戸籍は筆頭者と本籍地で管理されているので、戸籍の請求書に書く本籍地は現在の住所の名前に変えて書かないように注意しましょう。
家系図に必要な戸籍の請求方法と書き方のまとめ
なるべくわかりやすく、家系図を作るための戸籍の集め方や請求の手続きについて解説しました。
家系図を作るためにまずは本籍地の役所に請求して戸籍を集めますが、なかなか面倒な作業です。
ですが、請求の手続きはどれも簡単です。
戸籍を集めるだけでも早くて2ヵ月はかかりますが、焦って戸籍を請求しても間違いがあれば、請求書の訂正などに手間がかかってしまいます。
わからない点は役所に聞いたりして、ゆっくり作業を進めてくださいね。