性別適合手術(SRS)を受けると、戸籍の性別変更ができます。
戸籍の性別変更をすると、当然ながら戸籍の性別表記が変わるのですが、ただ普通に性別が変わるわけではありません。
ここでは戸籍の性別変更後の戸籍の状態や性別変更した記録の削除方法をまとめています。
戸籍に性別欄はない
戸籍にはよく見ると性別欄というのがありません。
しかし、保険証や住民票には性別欄がありますよね。
戸籍の場合は「性別:男(女)」という記載はないですが、どこで性別を判断しているのかというと続柄です。
戸籍の続柄には長男・長女・二男・二女といった内容が記載されています。
これを変更することが戸籍の性別変更となります。
性別変更で戸籍の続柄が変わるけど・・
戸籍の性別変更は続柄ですが、この続柄の変更は少し特殊です。
どのように戸籍の表記が変更されるのか見ていきましょう。
自動的に戸籍の性別は変更される
戸籍の性別変更の手続きについて少し触れておきます。
性別変更の手続きは自分で行う必要はありません。
性別変更の申立てが家庭裁判所に許可されると、家庭裁判所から市町村役場は通知(嘱託)を受けます。
通知を受けた市区町村役場は申立人の戸籍記載事項の変更(性別)を行い、あなたが筆頭者となる自分の新しい戸籍を編成します。
性別変更の時点ですでに自分の戸籍を持っている方は、性別変更後に新しい戸籍は編成されません。
(戸籍法第20条の4)
戸籍だけでなく、住民票も自動的に性別変更されますが、そのほかの保険証やパスポートなどはご自身で手続きが必要です。
戸籍の続柄はそのまま引き継ぐ
戸籍の性別変更をすると、長男や長女という続柄は変わらず、性別のみ変更されます。
性別変更前と後の続柄
- 続柄:長男→長女
- 続柄:長女→長男
- 続柄:二男→二女
- 続柄:二女→二男
何ら普通に見えますが、他に兄弟や姉妹がいると少し特殊な状況になります。
2人兄弟の次男が性別変更すると、兄しかいないのに次女(二女)となります。
2人兄弟で兄がいて長女が性別変更すると長男となります。
性別変更した本人のみ続柄の性別が変わるので、このような現象が起きてちょっと不思議な感じです。
性別変更後に新戸籍が再編されるのは、性別変更が家族(親や兄弟姉妹)に影響しないようにするためなのかもしれません。
戸籍の性別変更後の記載内容
戸籍の性別変更に関する文章は、身分事項の欄に記載されます。
身分事項 出生
平成15年法律第111号3条 |
【出生日】●年●月●日 【出生地】●県●市●町 【届出日】●年●月●日 【届出人】父(母) 【送付を受けた日】●年●月●日 【受理者】●県●市長 |
【平成15年法律第111号3条による裁判確定日】●年●月●日 【記録嘱託日】●年●月●日 【従前の記録】 【父母との続柄】性別変更前の続柄が記載される |
戸籍の性別変更をすると、従前の記録として性別変更前の続柄が記載されます。
具体的な戸籍の記載内容は下記を参考にしてください。
戸籍の性別変更の記録を削除する方法
戸籍の名前を改名している方は、すでに手続きされているかもしれません。
先述したように、戸籍には性別変更した記録が残ります。
元の性別がバレるのは嫌だと思う方もいると思います。
この記録を完全に削除することはできないですが、現在の戸籍から削除することはできます。
削除というか記載されないようできるのですが、その方法が転籍の手続きです。
転籍することで、戸籍は下記のような記載内容となります。
身分事項 出生
平成15年法律第111号3条 |
【出生日】●年●月●日 【出生地】●県●市●町 【届出日】●年●月●日 【届出人】父(母) 【送付を受けた日】●年●月●日 【受理者】●県●市長 |
【平成15年法律第111号3条による裁判確定日】●年●月●日 【記録嘱託日】●年●月●日 【従前戸籍】転籍前の本籍地と筆頭者を記載 |
上記のように転籍前には戸籍に記載されていた「続柄」が消えます。
これは離婚の記録が転籍の手続きによって、新しい戸籍から記録消えるのと同じです。
裁判確定日は前の戸籍から引き続き記載されますが、知識のある人でないとわからないでしょう。
転籍の手続きは簡単ですが、本籍地を変更するのでどこにするのかを事前に考えておきましょう。
転籍はとくに社会生活に何の悪影響もないですが、デメリットもあります。
性別変更後の戸籍の続柄と記録の削除方法のまとめ
戸籍の性別変更をすると、長男や長女といった続柄という形で元の性別が記載されます。
この続柄は本人のみで他の兄弟姉妹は変更されず、逆転現象が起こることもあります。
性別変更時の記録を完全に削除することはできないですが、転籍の手続きで最新の戸籍には元の性別は記載されません。
気になる方は性別変更後に転籍を検討するといいでしょう。