戸籍と性別

戸籍は嫡出子に!性同一性障害で子供を作る方法と実例

FTMとMTFの子供の作り方

性同一性障害で戸籍を男性に変えた夫とその妻が、夫婦の子供を作るためにはどうすればいいのでしょう。

戸籍が女性だったFTMの方が夫婦で子供を持つためには、AIDと養子縁組の2つがあります。

ここでは戸籍を男性に変更したFTMの方が子供を作る方法や費用、子供の戸籍の記載について解説しています。

戸籍を男性に変えたFTMに限らず、LGBT(同姓カップル)が子供を授かる方法や、戸籍を女性に変更したMTFの方が母親になった実例もご紹介しています。

LGBTが子供を授かる方法

戸籍の性別を変えたり、性別の移行を望むトランスジェンダーはLGBTという性的少数者に含まれます。

(今はLGBTQ+・LGBTQA+・LGBTOIA+と表現される)

まずは、同性愛者やトランスジェンダーのLGBTの方が子供を作る方法からみていきましょう。

LGBTに含まれるレズビアンやゲイなどの同姓カップルや、戸籍や体を望みの性別に移行するトランズジェンダー(FTM・MTF)の方が子供を授かる方法はいくつかあります。

  1. AID(非配偶者人工授精)
    第三者の精子提供で人工授精
  2. 特別養子縁組
  3. 代理出産(サロゲートマザー)
    夫婦の受精卵を使い第三者の女性が妊娠・出産
  4. 代理母(ホストマザー)
    夫の精子を使い第三者の女性が妊娠・出産

同姓カップルの中にはトランスジェンダー同士だったり、戸籍の性別逆転カップルの夫婦などいろんなパターンがありますが、LGBT(LGBTQ)は上記の方法があります。

LGBTでも養子縁組ができ、男性同士のカップルなら代理出産や代理母、FTMだったり女性同士のカップルならAIDがあります。

倫理的なことや法律上の問題はあるものの、LGBTでも子供を授かることができますが、代理出産や代理母は日本では認められておらず、海外で行うことになります。

2000年代前半はアメリカで代理出産を行うのが一般的でしたが、費用の面からロシアやタイでの代理出産が増えているようです。

ただし代理母や代理出産で生まれた子供が戸籍で実子(嫡出子)と認められません。

タレントの向井亜紀さんと元プロレスラー高田延彦さん夫妻は代理出産で子供を授かりましたが、最高裁では母子関係を認められないとして最終的に特別養子縁組を選択しています。

代理出産は日本ではみとめられていないため、血縁上の親子であっても嫡出子(実子)として戸籍に記載できないのです。

FTMが夫婦で子供を作るためには?

戸籍を男性に性別変更したFTMや、戸籍を性別変更していないFTMが子供を作る方法は2つあります。

  1. AID(非配偶者人工授精)
  2. 特別養子縁組

子供を作るうえで以下のことを検討する必要があります。

  • 精子提供
    血縁者・精子バンク・友人
  • 子供を作る方法
    体外受精・セルフ(シリンジ法)
  • 場所
    病院・セルフ(シリンジ法)

戸籍を男性に変更したFTMの場合は第三者による精子提供を受けますが、FTMやパートナーの血縁者や精子バンクなどから第三者の精子を提供してもらいます。

戸籍を女性から男性に変更していないFTMは自身が子供を産むこともできますが、この場合は子供が20歳になるまで戸籍の性別変更ができません。

非配偶者人工授精(AID)

AIDは本来は無精子症など男性不妊の場合に適用される方法ですが、戸籍が女性だったのを男性に変更したFTMの場合も利用されます。

また同姓カップルやシングルマザーにも行われているようです。

戸籍の性別変更をしたFTMと夫婦となっていれば、性同一性障害でもAIDを受けることができます。

戸籍の性別変更をしていない同姓カップルの場合は病院では処置できず、セルフで行うこととなります。

病院で行うにしても法整備が追いついていないため、FTMの妻がAIDの治療を受けられる病院はかなり限られてしまいます。

有名だった慶応大学病院では精子ドナー不足により新規受付を中止しています。

さらに病院での人工授精は1回2万円程度、体外受精だと1回30万円~50万円とかなり高額です。

性同一性障害の夫とその妻に対するAIDが可能な病院が少ないため、ネットで精子バンクや個人ボランティアを探してまずはセルフ(シリンジ法)で試すという方も少なくないようです。

調べると、実際にFTMが夫でその妻がシリンジ法で子供を授かったという方の方がよくみかけます。

そういえば10年くらい前でしょうか。

テレビで同性カップルがゲイの友人の精子提供で子供を授かったというのを見ましたが、その時と今は環境(法律)が何も変わっていないということですね・・

AIDの他に体外受精(IVF)がありますが、体外受精は体外で卵子と精子を授精させて子宮に着床させる方法です。精子をパートナーに、もしくは精子をFTMにという方法があります。

体外受精するために、事前に戸籍の性別変更をしていないFTMの卵子凍結保存することもできます。

ただし、戸籍の性別を変えたFTMの卵子でパートナーに子供を産んでもらう場合は、国内での体外受精ができない現状があります。そのため海外で行うということになります。

AIDの妊娠確立

AIDによる人工授精の妊娠確立は、兵庫医科大の調査(2015年までの10年間で約3万2千件のデータ)によると5%と言われています。

提供された精子は感染症予防のためにいったん凍結されるため、どうしても受精する機能が落ちてしまい、妊娠率が低くなるとみられます。

余談ですが、イギリスで2000年~2010年の間で生殖補助医療(人工授精・体外受精)で誕生する赤ちゃんは男児が多いという研究結果があります。

※Effects of assisted reproductive technologies on human sex ratio at birth

特別養子縁組

特別養子縁組という制度を利用して、性同一性障害で戸籍の性別変更をしていても父親や母親になることができます。

特別養子縁組は原則6歳未満の子供が対象で、さまざまな事情で実の親と暮らせない子供を、実子に近い形で法的に親子関係を成立させる制度です。

児童相談所や民間の養子縁組あっせん業者が仲介しており、性同一性障害の当事者でも利用できます。

児童相談所での特別養子縁組の流れ
  1. 児童相談所に相談
  2. 研修・調査を経て里親登録される
  3. 紹介された子供と数ヵ月交流し養育の委託の可否を決定
  4. 委託から6ヵ月程度養育
  5. 家庭裁判所で特別養子縁組成立を申立て
  6. 家庭環境の調査や聞き取りを行い審判確定
  7. 許可後、役所にて戸籍の手続き

※あっせん業者の場合は手続きの流れが異なります

先ずは児童相談所などへ相談が必要です。

費用は数十万円~数百万円とかなり差があります。

厚生労働省に登録されているかをチェックして、健全な事業者を選ぶようにしましょう。

>>厚生労働省養子縁組あっせん事業者一覧

性同一性障害のFTMやMTFが親になった実例

性同一性障害で戸籍を女性から男性に変えたFTM、戸籍を男性から女性に変えたMTF、戸籍の性別変更はしていないFTMの方が実際に子供を授かった3つの実例をご紹介します。

性同一性障害の方やその妻が子供を授かるというのは、それほど情報は多くありません。

ネットで調べるとたまにみかけますが、より正確な情報を得るために医療機関や性同一性障害(FTM・MTF)の当事者と交流して、実際に話を聞いてみましょう!

FTMがAIDと特別養子縁組で子供を迎えた実例

一人目(左)は特別養子縁組で子供を迎えたFTMの方で、児童相談センターの研修を経て里親認定された約2年後に迎えたそうです。

二人目(右)は実兄からの精子提供で子供を作ったFTMの方で、当初は実兄に依頼した当初は反対され、話し合いを重ねて承諾を得たそうです。

FTMの養子縁組と嫡出子

心と体の性が一致しない「トランスジェンダー」で、女性として生まれたが、心が男性である「Female to Male(FTM)」の当事者2人が、子育てに奮闘している。
2人は性別適合手術を受け、戸籍上の性別を「男性」に変更後、女性と結婚。それぞれ特別養子縁組、または人工授精によって子どもを授かった。
トランスジェンダーパパである彼らは「幸せです」と口をそろえ、体験を語った。
>>女性として生まれたが、今は「パパ」となって子供を育てる2人がとった選択

ゲイの友人(左)に精子提供してもらい、FTM(右)とその妻、ゲイの友人で新しい家族の形を作っている方もいます。

FTMとゲイのカラフルファミリー

初回放送日: 2020年8月23日
おととし秋、元気な赤ちゃんが産まれた。この子には3人の親がいる。トランスジェンダーの父とパートナーの母。ふたりに精子提供したゲイの男性。3人の子育ての物語。
>>カラフルファミリーNHK

性同一性障害で戸籍は女性のままの方(FTM)が、友人男性の精子提供で出産したという実例もあります。

カップルの2人は子供が欲しかったというのもありますが、味方をしてくれた祖母が倒れ、祖母の願いを叶えるという思いもあったようです。

FTMが子供を産む

2017年東海地方。産婦人科を訪れていたとあるカップル。妊娠しているのは・・・なんと彼氏のトシヤ。それは新しい家族の形だった。
>>子どもを産むのはオレだ|ザ!世界仰天ニュース|日本テレビ

MTFが特別養子縁組で子供を迎えた実例

戸籍を男性から女性に変えたMTFの女性が、2014年に児童養護施設から男児を引き取り母親になりました。

戸籍を女性に変更したMTFが母親と認められたのは国内初とのこと。

2014/04/04
【東京新聞】性同一性障害 性別変更後「母親」に 特別養子縁組認定
性同一性障害で男性から性別変更した大阪府の三十代女性が結婚後、里親の「母親」として児童養護施設から引き取った男児(3つ)との特別養子縁組を申し立て、大阪家裁に認められたことが二日、女性への取材で分かった。
GID(性同一性障害)学会は、女性に性別変更した人が、特別養子縁組で法的に母親と認められるのは「聞いたことがない」としており、国内初とみられる。
>>【東京新聞】性同一性障害 性別変更後「母親」に 特別養子縁組認定|ふらっと人権情報ネットワーク

性同一性障害(FTM)の子供の戸籍

子供の戸籍には親の名前が記載されます。

これまでは一般の夫婦が精子提供でもうけた子供は嫡出子となりますが、性同一性障害で戸籍を男性に変更したFTMとその妻が精子提供を受けてもうけた子供は非嫡出子となり、戸籍の父親の欄は空白となっていました。

戸籍の性別変更を行ったことは戸籍に記載されるため、子供との血縁関係がないことは明らかなので、親子関係は認められないということです。

しかし、2013年12月11日の最高裁の判決で、性同一性障害でも第三者の精子提供を受けて出産した子が「嫡出子」であると認められました。

そして、法務省の通達で2014年に性同一性障害の夫とその妻の間で授かった子供は嫡出子となり、戸籍上も父親として記載されることになっています。

戸籍だけでなく、子供の出生届を提出する際も嫡出子として記載されます。

2014年以前に何らかの手続きをされた方は、嫡出子として認められることになったので戸籍の訂正が必要です。

2014年以降は夫婦からの申し出がある場合に、戸籍を訂正した履歴の記載を消すこともできるようです。

養子縁組をして子供が養子となっている場合も、戸籍を訂正し、養子縁組の項目を取り消すことができます。

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性同一性障害の子供とその戸籍のまとめ

性同一性障害で戸籍を性別変更した方が子供を授かる方法はあります。

事情や考え方は個々で異なりますが、どのようにして子供を授かるのか慎重に検討しましょう。

また、戸籍の性別(性同一性障害であること)を子供にいつ伝えるのかという問題もありますが、性同一性障害でも血縁関係がなくても、健全な親子関係は築けるものです。

悩みがあったときに相談できるよう、当事者同士の交流も大切だと思います。

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