引っ越しは多くの手続きが必要ですが、戸籍に関する手続きも必要な場合があります。
戸籍の手続きに転籍がありますが、引っ越しによって本籍地が変わったり、変更の必要性はあるのでしょうか。
ここでは、引っ越し後の住所変更の手続きやそのタイミング、戸籍の関係や転籍のよくある誤解などわかりやすくお伝えします。
引っ越し後に本籍地の変更が必要かどうか、いつ手続きをすればいいのかがわかりますよ!
引っ越し後の住所変更の手続きと戸籍の関係
引っ越し後の手続きに住所変更があります。
住所変更の手続きは、住民票の移動をするため、転出と転入の手続きが基本です。
引っ越し後に戸籍の手続きをする場合、戸籍は住所とは異なり本籍地という概念がります。
これは引っ越しによる住所変更とは違い、本籍地は自動的に変わらず、必ずしも引っ越し後に必要な手続きではありません。
戸籍の本籍地とは何か?住民票との違い
住民票と戸籍の違いについてさらっと確認しておきましょう。
住民票とは?
住民票は、各市区町村が住民(あなた)の現在の居住関係を公証するものです。
なので、引っ越しをすれば、住所を変更するために、市区町村役場で転出と転入の手続きが必要です。
戸籍の本籍地とは?
本籍地とは、戸籍の住所です。
戸籍謄本や戸籍抄本などを発行する場所で、日本のどこでも自由に本籍地を設定することができます。

引っ越し後に戸籍の手続きが必要なケース
引っ越し後に住所変更の手続きだけでなく、転籍の戸籍の手続きが必要なケースを見ていきましょう。
本籍地が遠い
引っ越し後に戸籍の本籍地の手続きが必要になるケースで一般的なのは、戸籍の取得が不便になる場合です。
住所地に転籍しておくと、急な手続きの際にすぐに戸籍を入手できます。
パスポート申請や婚姻届の提出など、戸籍謄本が必要な手続きが円滑になります。
今はマイナンバーカードがあると、対応している市区町村ならコンビニで発行できます。
マイナンバーカードはいろいろと問題も指摘されているので持っていない方もいるかと思います。
これがない場合は引っ越し後に転籍をして、戸籍の取得が住居地など近場で取得できるようにしましょう。
プライバシーの保護などの事情
元の本籍地に関する情報を隠したい場合があれば、転籍で解決できる部分があります。
- DV被害者が加害者から身を隠したい
- ストーカー被害者が加害者に居場所を特定されないようにしたい
- 有名人や公人が私生活の詳細を一般に知られたくない
- 養子縁組や里親制度を利用した人が生まれた場所や実親の情報を隠したい
- 離婚歴や養子縁組の経歴を知られたくない
- 宗教や信条の理由で出身地や家族関係を隠したい
- 思い入れのある土地に本籍地を移したい
- 心機一転や結婚を機に転籍する
これらのように、犯罪被害者やその家族がプライバシーを守ったり、結婚などを機に転籍するケースがあります。

引っ越し後の戸籍と住所変更の手続きのタイミング
引っ越し後の戸籍と住所変更の手続きのタイミングはいつがいいのでしょうか。
手続きには期日があるのでご注意ください。
引っ越し後の住所変更のタイミング
引っ越し後の住所変更(住民票の異動)の手続きのタイミングは、
- 転出届
引っ越し14日前から引っ越し当日まで - 転入届
引っ越し日から14日以内
本籍地の変更のタイミング
戸籍の本籍地の変更(転籍)はいつでも問題ありません。
タイミングの規定がなく、任意の手続きです。
なので、住所変更と同時に本籍地の変更の手続きを行うといいでしょう。
各種の手続きのタイミング
- 引っ越し前に転出届を提出する
- 引っ越し後に転入届を提出
- 必要に応じて転籍手続きをする
住民票の住所変更と転籍の手続きをした後に、各種証明書や保険の住所変更を行います。
- マイナンバーカードの住所変更
引っ越し日から14日以内 - 国民健康保険、国民年金、介護保険の住所変更
引っ越しから14日以内
転籍のデメリットもある
転籍によって行政手続きが簡易になるというメリットがある反面、面倒になるデメリットもあります。
転籍のメリット
- 戸籍の取得が容易になる
- 現在の居住地に本籍地を移すことで、戸籍の取得が簡単になる
- 好きな場所を本籍地に設定できる
- 思い出の場所や象徴的な場所を本籍地にすることができる
- 新しい戸籍に離婚歴を記載しなくて済む
- 転籍で新しく戸籍を作ると離婚歴などの情報を新戸籍に引き継がなくてもよい
- 過去の本籍に再指定できる
デメリット
- 遺産相続時の手続きが複雑
転籍回数が増えるほど、相続時に必要な戸籍や除籍謄本の取得が煩雑になる
戸籍の所在地の把握が難しくなる - 身分証明書の更新が必要
運転免許証やパスポートの変更手続きが必要になる場合がある - 元の戸籍に戻せない
転籍すると新しく戸籍が作成され、戸籍が作成された日付と前の本籍地が記載されるため、元の戸籍の形態に戻せない
2024年3月1日から導入された「戸籍証明書の広域交付制度」があります。
この制度により、本籍地以外の最寄りの市区町村窓口でも戸籍謄本や除籍謄本を請求できるようになりました。
これは、直系親族(本人・親・祖父母・子)の戸籍謄本のみです。
一部の市区町村では戸籍の電子化が完了していないため、対象外の役所もあります。
転籍の手続きや注意点は下記を参考にしてください。

戸籍の変更(転籍)の誤解と事実
最後に引っ越し後に転籍の手続きをする際のよくある誤解をまとめています。
誤解1.転籍すると過去の情報が完全に消える
転籍後に作成されたの新しい戸籍には、記載されない情報があります。
しかし、それは一部の情報なので、完全に情報が消えるわけではありません。
例として、離婚履歴が削除されたり、改名なら改名前の名前が削除、性別変更なら前の性別が削除されます。
一部の情報が新しい戸籍から消えても、過去の戸籍には情報が残ります。

誤解2.転籍は同じ市区町村内でも効果がある
離婚歴のように、新しい戸籍に記載させないためには、同じ市区町村に転籍しても無意味です。
別の市区町村に転籍する必要があります。
誤解3.転籍後は元の本籍地に戻れない
転籍後も本籍地を再び変更することは可能です。
ただし、元の戸籍の形態には戻れません。
誤解4.転籍すると子供の情報も新しい戸籍に移る
単に親(筆頭者)が転籍する場合、同じ戸籍に入っている子供も自動的に親と一緒に新しい戸籍に移ります。
離婚後、親権者となった親の戸籍に子供を移すなら、名字の変更や戸籍の手続き(入籍届)の手続きが必要です。
転籍前に子供が結婚などで除籍されている場合、転籍後の新しい戸籍には子供の情報は記載されません。
誤解5.転籍の手続きは複雑で時間がかかる
市区町村役場に転籍届と必要書類を提出するだけです。
かなり簡単に単に手続きができます。
「引っ越し後の戸籍と住所変更」本籍地はどうなる?手続き・タイミングのまとめ
引っ越し後の住所変更は、転出届と転入届を期限内に提出することが大切です。
一方、本籍地の変更(転籍)は必須ではありませんが、戸籍謄本の取得の利便性やプライバシー保護の観点から検討する価値があるでしょう。
引っ越しに伴う手続きは多岐にわたりますが、期限内に漏れなく行うことが重要です。
本籍地の変更など引っ越し後の手続きは、ご自身の状況に合わせて最適な選択をしてください。