日本ではパートナーシップ制度が導入されつつありますが、法律上の同性婚はできません。
そのためアメリカなどの海外で同姓婚して移住するという方もいます。
男女の同性愛者だけでなく、戸籍の性別を変更したり、変更しないトランスジェンダー(FTM・MTF)が同姓婚をする場合もありますよね。
ここでは海外で日本人同士の同姓婚を考えている方に向けて、どのような手続きが必要なのか、日本の戸籍の変動などについてまとめました。
海外での同性婚の手続きは国や州により異なりますが、アメリカでの同性婚の手続きの流れをお伝えします。
アメリカで日本人同士が同性婚する流れと条件
アメリカでは同性婚も異性婚も手続きの流れは同じです。
州によって必要事項が異なりますが、ここではニューヨークを参考にしています。
アメリカでの同性婚の流れ
- 結婚許可証を申請
(Marriage License) - 60日以内に挙式
- 正式に結婚許可証を発行
(Marriage Certificate)
結婚許可証の手数料は州により異なり、ニューヨークは35ドルです。
アメリカでの同性婚の条件
- 年齢が18歳以上
- ESTAの取得
アメリカでの同性婚の条件として、年齢が18歳以上であることです。
ESTAがあればアメリカはビザなしで90日間滞在できるため、同姓婚することができます。
他の州や他国では血液検査が必要だったりしますが、ニューヨークでは同姓婚をするのに血液検査証明書は不要です。
ニューヨークでの同性婚の流れの詳細
>>OFFICE OF THE CITY CLERK THE NEW YORK
アメリカでの同性婚の手続き
アメリカのニューヨークで、具体的にどのような手続きが必要なのかをみていきましょう。
1.結婚許可証の申請
アメリカで日本人同士が同性婚をするために、まずは市役所の書記事務局(シティクラーク)で結婚許可書を申請します。
オンラインでもでき、オンラインで申請して多くと市役所での手続きがスムーズです。
>>Marriage License Application
オンライン申請が終わると確認番号(Confirmation Number)が送付されます。
24時間以降(60日間有効)にコピーして市役所へ行きます。
※21日以内なら訂正可能です。
2.結婚許可証をもらいに市役所へ行く
必要書類を持って、市役所へ2人で行きます。
- 確認番号の記載があるメールのコピー
- 結婚許可証の申請費用35ドル
- 身分証明
(パスポートで可) - 離婚歴がある場合は英訳した資料
ニューヨークのシティークラークの場所
>>Office Locations & Hours-City Clerk
3.挙式
結婚許可証を受け取ったら、有効期間内に挙式(Marriage Ceremony)を行います。
アメリカでは同じ州であれば、結婚許可証と結婚証明書は別の場所でも有効です。
たとえば、ニューヨークのマンハッタンで結婚許可証を受け取り、クイーンズで結婚証明書を受けとることができるようです。
ニューヨーク州の他の場所で結婚ライセンスを申請した場合、費用は40ドルです。
同性婚が有効になるために挙式する必要があり、挙式では牧師や神父など資格のある人の前で結婚を誓います。
挙式の必要事項は下記のようになります。
- 身分証明書(パスポート)
- 1名の立会人(Witness)
- 取得した結婚許可証
- 結婚証明書の支払い
市役所での挙式は時間にして5分くらい、挙式の費用は25ドルです。
挙式で結婚証明書に牧師と立会人に署名をしてもらいます。
アメリカでの結婚の流れの参考動画
4.結婚証明書の発行
アメリカの市役所で挙式を挙げると結婚証明書が発行されます。
これで日本人同士の同姓婚の手続きは完了です。
もし移住するという場合は、永住権の取得などの手続きが必要です。
上記の流れを見ると、アメリカは同性婚の手続きが比較的簡単ですね。
自分たちで手配するのが不安な場合は、ツアーなんかもあります。
同姓婚しても戸籍は変動する?
海外で日本人同士が同姓婚をしたら、戸籍はどうなるのでしょう?
日本人が海外で同性婚をして日本に住む場合
日本では同姓婚は認められていらず、たとえアメリカなどの海外で同姓婚しても無効となります。
通常は結婚すると戸籍が一つになり夫婦の戸籍が作られますが、同姓婚を海外で手続きしても戸籍は何も変わりません。
日本人同士が海外で同姓婚をしても、帰国して日本で一緒に暮らす場合、特に何も変わらず独身の扱いとなります。
扶養や相続などの権利はありません。
外国人との同性婚はビザの問題がある
日本人同士の同性婚ではなく、パートナーが外国人の場合はどうなるのでしょう。
パートナーの国で同性婚が認められていれば、その国での同性婚は有効です。
しかし、外国人パートナーを日本に呼んで一緒に暮らそうとしても、片方が日本人だと外国人配偶者にビザがおりないという問題があります。
同性婚した一般の外国人配偶者の在留資格は、特定活動ビザがあります。
特定活動ビザは、ワーキングホリデーなどで認められるビザです。
同性婚を認める国が増え、日本で働く外国人の中で配偶者を連れてきたいという人が増えたため認められています。
外国人同士で互いの国で同性婚が認められている場合は、特定活動ビザが許可される可能性があります。
現時点では日本人と外国人の同姓婚の場合、就労ビザなどのビザを取っていれば日本で一緒に住むことはできますが、日本では配偶者として認められません。
しかし、将来的に特定活動ビザが認められる方向です。
政府は同法の運用を変更し、婚姻関係を証明する外国の公的文書などがあれば、「特定活動」を適用する方向だ。ただし、日本の法律上の婚姻関係を認めるわけではない。「特定活動」は、法相が個別に活動内容を判断して在留を認める資格で、「ワーキングホリデー」などが該当する。
>>【独自】日本人との「同性婚」が海外で認められた外国人パートナーに在留資格…政府検討
外国人同士の同性婚のビザと・、日本人と外国人の同姓婚で外国人パートナーの日本に住む場合のビザは下記のようになります。
- 家族滞在ビザ→×
- 特定活動ビザ→〇
- 日本にいる外国人の方が大使や大使館の職員→外交ビザや公用ビザ
- 配偶者ビザ×
- 特定活動ビザ×
- 配偶者ビザ→×
- 特定活動ビザ→〇
上記のように、現在はたとえ外国人パートナーとの同性婚がパートナーの国で有効だとしてもビザは取れません。
どちらも外国籍パートナーが就労ビザや留学ビザといった、配偶者ビザ以外であれば同棲はできます。
今後は外国人パートナーの国で同性婚が有効に成立していれば特別活動ビザが取れるようです。
日本人同士が同姓婚を有効にするなら移住
外国人パートナーとの同性婚は、日本で住む場合はビザの問題があります。
日本人同士ならアメリカやカナダで同姓婚しても婚姻が無効となります。
こういったことから同姓婚を機に海外に移住する方もいます。
結婚証明書は日本において効力を発揮しません。
日本にはパートナーシップ制度がありますが、これは同性婚とは異なり法的な効力がありません。
法的な権利を有効にして配偶者になるなら、永住権(グリーンカード)を取得して海外に住むしかないのです。
永住権は取得が難しいですが、結婚が理由になると英語の試験が免除されるなど、永住権の取得が少し楽になります。
同性婚をして2年経過していない場合は、2年間の期限付きでの永住権となります。
永住権の取得は1年~2年かかるので、早めに手続きしましょう。
海外(アメリカ)で同姓婚する流れと戸籍の変動のまとめ
アメリカでは国籍を問わず、同性婚の手続きができます。
日本人同士の同姓婚もでき、市役所での手続きで完了します。
州によって手続きの流れや費用が変わりますが、だいたいのイメージはつかめたでしょうか。
言葉の壁が不安材料ですが、同姓婚の手続き自体は難しくないのでそこは問題なさそうですね。