武士という言葉は、日本人の心根にある理想像として使われることがよくあります。
「わが家はもともと武士の家系なのです」と誇らしげに話す人もいますね。
そんな話を聞くと、先祖が武士なのかと考えたくなるもの不思議ではありません。
先祖を知るには戸籍が重要で、戸籍の名字(苗字)からわかることがあります。
日本人の20人に1人が、先祖が武士だというデータもあり、自分の先祖が武士である可能性は大いにあります。
この記事では、自分の先祖が武士なのか、戸籍、名字から調べる方法をお伝えします。
戸籍と苗字で先祖を調べる手順
- 自分と同じ苗字の武士を調べる
- 戸籍から先祖の苗字と住所を調べる
- 戸籍と苗字で得た情報から武士かを検討する
戸籍と苗字で先祖を調べる方法はいくつかあるのですが、もっともわかりやすいのが同じ苗字の武士を調べることです。
戸籍の苗字と同じ苗字の武士かいたら、先祖が武士である可能性が出てきます。
また、戸籍に記載されている先祖の苗字と住所から調べることもできます。
先祖を知るためには、すべての戸籍を集める必要があります。
最新の戸籍(現戸籍)には過去が全て記載されていないので、先祖を調べるためには古い戸籍を集めて遡らないといけません。
戸籍を遡って先祖がわかったら、これまで集めた情報から先祖が武士であるのかを検討します。
では次の項目から、戸籍と苗字で先祖が武士なのかを調べる具体的な方法を見ていきましょう。
自分の戸籍の苗字と同じ武士を調べる
先祖が武士なのかを調べるために、まずはあなたの戸籍の苗字と同じ苗字の武士がいないかを調べましょう。
氏をつけて調べる
自分の名字をネット検索する際は、調べる名字に「氏」を付けます。
「武士」をつけると「たけし」の意味ととられ、現代の人物が出てきてしまいます。
名字に「氏」をつけてネット検索すると、過去に自分と同じ名字の武士がいたのがわかります。
例えば「山本氏」という具合に調べてみましょう。
紀伊国の山本氏は、紀伊牟婁郡の冨田川流域と日高郡の一部を領有し、龍松山城を居城としたとあります。
三河山本氏は、三河国の小領主で、越後長岡藩家老を務めました。
後年になって山本家当主が戦死し、海軍元帥・山本五十六が養子入りして家督を継いだことも有名な話だそうです。
近江の山本氏は、山本義経といい、平安時代の武将で源義光の子孫。
弓馬の達人で、「吾妻鏡」にも記されています。
山本ってありふれた名字ですが、過去にこれほどの武士がいたり、山本五十六の挿話なども全く知りませんでした。
こういったことを調べるだけでも価値があるかもしれませんね。
武士の領地を知る
戸籍の苗字+氏で調べる際に重要な事は、その武士の領地がどこかということです。
武士の名字は、自分の領地に関係する傾向があります。
自分がどこを支配しているのかを名字で示しているのです。
また、家臣の名前や家紋についても調べておくと役に立ちます。
自分の先祖は領主ではなく、家臣かもしれません。
また武士の家紋が、自分の家紋と同じか類似していれば、自分の先祖が武士である大きな証拠です。
戸籍で先祖の名字と住所を調べましょう
次は戸籍から先祖が武士かどうかを調べます。
先祖の戸籍まで辿る必要があるので、家系図を作るのと同じように人によってかなり大変です。
最古の戸籍まで遡る
社会人であればご存じの方は多いと思いますが、戸籍を取り寄せるために自分の戸籍の本籍地を調べましょう。
昔は運転免許書に記載されていたので誰でも知っていました。
最近は知らない人も多いようですが、この場合は親にたずねる必要があるかもしれません。
本籍地のある役所で戸籍を発行できますが、現在の居住地とは違うところで、保管されている役所が遠方ということも多々あります。
引っ越しが多いと、いろんな地域の役所から取り寄せないといけないのでけっこう面倒です。
そんなときは、郵送で戸籍を取り寄せると便利です。
自分の本籍がわかったら、現在の本籍地、前の本籍地と一つずつ遡って、先祖の戸籍をたどっていきましょう。
少なくとも明治時代まで、できるなら明治初期まで、さかのぼりたいところです。
古い戸籍謄本は、文字が分かり難く、素人では判読が不能の場合があります。
苗字だけでなく名前も参考になる
最古の先祖の名字と本籍地が、自分のルーツです。
武士とくに領主であれば、自分の領土を名字として名乗ることが多いです。
また、庶民の場合も、自分の住処や職業を名字としたのが大半です。
山のふもとに住んでいるから山本、犬を飼っているから犬養という風です。
名字と本籍地により、幕末の先祖の情報がわかります。
名字だけでなく名前も参考になることがあり、重要です。
江戸時代は「幸村」「政宗」とかいう名前は武士しか名乗れませんでした。
なので、そういう名前なら武士である可能性が高くなります。
戸籍と苗字で先祖は武士なのか検討しよう
自分と同じ名字の武士の情報と、自分の最古の先祖の名字と本籍地を調べたら、いよいよ自分の先祖は武士なのか検討しましょう。
これまで集めた情報を元に考察します。
ちなみに名字は興味深いもので、帰化した韓国人・朝鮮人の名字の特徴もあります。
本籍地が城下町
最古の本籍地が城下町なら、先祖が武士である可能性が高くなります。
また、ネット検索した武士の領土に一致すれば、さらに可能性が増します。
ただし、本籍地が違っても、武士が浪人となり、子孫が庶民街に転居した場合もありましょうから、これだけで否定はできません。
先祖の苗字が武士っぽい
最古の戸籍までたどり、先祖の名字が武士らしいものなら、先祖が武士であることは肯定的です。
例えば、長宗我部、蘆名、豊臣、竜造寺、宇喜多、陶、明智などがあります。
他にもいろいろあるので、「戦国武将名字ランキング」などで検索してください。
最古の戸籍の名前
最古の名字だけでなく、名前も重要です。
例えば、私の先祖が山本主水という氏名で、紀伊の国に本籍があるとしたら、私なら武士だと考えます。
さらに紀伊国の山本氏の家紋が、自分の家紋と類似しているなら、ほぼ確実でしょう。
このように、手に入れた情報をもとに、先祖の人物像を推測します。
もちろん、最古の戸籍に「●●は武士をしていた」と記載があれば確定します。
しかし、そういった確たる証拠が得られることは少ないかもしれないですね。
戸籍の苗字で先祖が武士化を調べる方法のまとめ
戸籍で自分のルーツを知るのは、興味から始めることが多いと思います。
先祖が武士かどうかの判断を、間違えたら困るというケースはまれでしょう。
なので、そんなに厳格なものではなく、ドラマチックな要素が入っても良いですよね。
自分の先祖が武士であり、とある城下町に住み、家族と生活している。
そんな光景を想像してみるのも、楽しいと思います。
もしかしたら、「仕置き人」をしていたかもしれません。
戸籍とあなたの名字から、先祖が武士であるかを確実に知るのは難しい部分もあります。
それでも推測することはできるので、本格的に先祖が武士かどうかを調べるなら家系図が作れるだけの戸籍を集めましょう。