住所は誰かに伝えなければ、知られることはありません。
友人、兄弟、家族に住所を知らせなければ、普通はわからないものです。
ただ、引っ越しには住民票を移さないといけません。
住民票を移すとその記録が住民票だけでなく戸籍にも残ってしまうため、毒親が戸籍を調べることで住所を知られてしまいます。
戸籍も住民票も親であれば閲覧できるため、毒親からの追跡を避けるためには、「支援措置」の制度を活用しましょう。
支援措置とは住民基本台帳事務における支援措置申出書の手続きによって、戸籍や住民票に閲覧制限をかけることができます。
閲覧制限をかけるためには、ただ住民基本台帳事務における支援措置申出書を申請するだけではできず、認可されないと実際に戸籍や住民票を隠すことはできません。
ここでは毒親に住所を知られないようにするための戸籍や住民票の閲覧制限の手続き、閲覧制限の申請が許可されるポイントをまとめました。
毒親を理由にした閲覧制限がどこまでの効果があるのか、メリットやデメリットもお伝えします。
毒親を理由に戸籍と住民票の閲覧制限をする方法
支援措置の閲覧制限とは、戸籍や住民票の閲覧を制限し、配偶者からの暴力やストーカーなど、加害者に現在の住所を知られないようにするための制度です。
これは「DV等支援措置(住民基本台帳事務における支援措置申出書)」と言われ、住所地の市区町村の役所に届出ます。
住民基本台帳の写しの閲覧制限をかけることで、これによって毒親に住所を隠せます。
何らかの被害がある場合は、毒親を理由に戸籍や住民票の閲覧制限が可能です。
既に現住所が知られている場合も、戸籍や住民票の閲覧制限ができます。
閲覧制限できる戸籍と住民票の種類
- 住民票(住民基本台帳)
- 住民票の附票・除票
- 戸籍謄本・戸籍抄本
- 戸籍の附票・除票
支援措置で閲覧制限ができるのは、このようになります。
戸籍の附票は、これまで引っ越しした住所の履歴が記載されている書類です。
住民票よりも過去に遡ることができます。
毒親を理由に閲覧制限する条件
以前はDVやストーカーに対してのみ、戸籍や住民票の閲覧制限ができたのですが、2012年10月1日付けで、毒親に対して戸籍や住民票の閲覧制限ができるようになりました。
「住民基本台帳事務における支援措置申出」の手続きするためには、いくつか条件があります。
- 家庭内の児童虐待
- 家庭内の性的虐待
このような家庭環境で毒親を持っている方は、十分なヒアリングを行ったうえで必要に応じて、戸籍や住民票の閲覧制限の措置が受けられます。
また、引っ越しする予定がなくて、現住所のみを閲覧制限する場合は、毒親に現住所が知られていないことが条件です。
引っ越しする余裕がなくても、生活困窮者へ物件を紹介する不動産屋もあります。
このあたりも、閲覧制限の相談時に聞いておくといいですね。
戸籍・住民票の閲覧制限の手続きの流れ
- 現在の住所や引っ越し先の住所を管轄する警察署と役所へ相談
- 必要書類を持って役所で閲覧制限の申請
- 許可後に引っ越す場合は転出(旧住所)と転入(新住所)の手続き
毒親に対して戸籍や住民票の閲覧制限の手続きをするためには、役所や警察署の認定が必要です。
まずは現在の住所や引っ越し先の住所を管轄する役所へ相談しましょう。
どのような流れで戸籍や住民票の閲覧制限を行うのかを問い合わせて、指示に従います。
相談する場所は女性センターなどの場合もあり、各市区町村によって変わるので、事前に役所と警察署に電話で確認しておきましょう。
警察署や役所で戸籍や住民票の閲覧制限の必要性が認められたら、調書と支援措置申請書を書いてもらい、その後は役所で閲覧制限の申請の手続きします。
戸籍・住民票の閲覧制限に必要な書類
- 住民基本台帳事務における支援措置申出
- 本人確認ができる資料
- 印鑑
戸籍や住民票の閲覧制限の手続きは、必要書類を提出するだけです。
受理されたら、毒親から1年間は戸籍や住民票から住所を隠せるのです。
有効期間の1年が過ぎたら、その後も閲覧制限を続けるためには再度申請して延長手続きをします。
期限のお知らせはとくにないのでしっかり自分で管理しましょう。
戸籍の分籍や転籍も行う
毒親が戸籍や住民票から住所を見れなくするために閲覧制限を行いますが、その際に分籍や転籍も行います。
分籍は戸籍を独立させることですが、たとえば結婚すると戸籍から抜けるため毒親にその事実がバレてしまいます。
先に分籍で親の戸籍から抜けておくことで分籍した事実はバレても、その他のことはバレにくくできます。
また、閲覧制限の有無にかかわらず、心理的に毒親と距離を置きたい場合も有効です。
戸籍や住民票の閲覧制限を行う場合は、分籍→転籍→閲覧制限の順で手続きをします。
分籍で住居地とは別の戸籍の住所(本籍地)を指定し、転籍も同様に指定することで、毒親に住所がバレにくくなります。
分籍も転籍も住居実態がなくても戸籍の住所は指定できるため、富士山や皇居の住所を指定する方も少なくないです。
毒親に住民票や戸籍から住所がバレないための対処法として、なるべく本当に住んでいる住所とは関係のない住所を本籍地に指定するといいでしょう。
住民票の閲覧制限をすると、現在の本籍地と前の本籍地に閲覧制限をかけることができ、毒親があなたの住所を追跡することは難しくなります。
毒親への戸籍や住民票の閲覧制限が許可される方法
毒親に対する戸籍や住民票の閲覧制限は、警察や児童相談所や役所などが審査に当たります。
危険な事例だと判断されたとき、「住民基本台帳事務における支援措置申出書」として認可されて戸籍や住民票の閲覧制限が出ます。
ただし、毒親と相性が悪いといった理由では、閲覧制限の審査に通らない例もあり、親子喧嘩やささいなトラブルでは、戸籍や住民票の閲覧制限は許可されません。
毒親による暴力事件や生命に関わるような悪質な事例ではないと、閲覧制限の審査落ちもあります。
戸籍や住民票の閲覧制限が許可されるためには、以下を意識しましょう。
閲覧制限の許可のコツ
- 警察や役所に詳細な事情を話す
- 暴力や窃盗などの証拠を保存
- 重大事件であることを説明
まず第一に閲覧制限をするなら、役所や警察署に相談するのが確実です。
警察や役所に相談する際に、毒親の暴力やお金を取り上げるなどの被害を立証するために証拠を残しておきます。
戸籍や住民票の閲覧制限は、あなたが毒親からどのような被害を受けているのかということを、役所や警察に訴えて働きかけが必要です。
特に暴力の有無は、閲覧制限の必要性を判断するうえで重要なようですね。
閲覧制限する注意点
支援措置による戸籍や住民票の閲覧制限の扱いは、相談機関によって対応が異なることです。
たとえば、精神的暴力だけで閲覧制限ができるところがあれば、身体的暴力がないと許可されないということもあります。
他にも、「加害行為をしていた片親にしか、戸籍や住民票の閲覧制限がかけられない」ということもあります。
これでは他の家族があなたの戸籍や住民票を閲覧できてしまい、加害者である毒親に伝わる可能性があります。
この場合は、家族全体が加害者であるということを伝える意識を持ちましょう。
たとえば、「父親がDVをしている時、母親やそのほかの家族は助けてくれず、知らんぷりで加担していた」といった感じです。
毒親と閲覧制限に関する相談機関は、警察や役所だけでなく、児童相談所や女性相談センターなど複数あります。
いくつかの相談機関に回って、自分が納得できる対応をしてくれる相談機関を見つけましょう。
毒親に閲覧制限をするデメリット
毒親に対して戸籍や住民票の閲覧制限をすることは、メリットもありますがデメリットもあります。
一番のメリットは、引っ越し先の住所がバレにくくなるので、安心感があります。
身の安全を確保して、平穏な生活が送れることですね。
閲覧制限のデメリットは以下のようになります。
- 1年ごとに更新
- 職権で戸籍や住民票を取得できる
- 役所でしか発行できない
戸籍や住民票の閲覧制限は、1年ごとに相談機関と面談をして更新が必要です。
戸籍や住民票は、毒親が弁護士に依頼すれば、職権で戸籍や住民票が発行できます。
2018年3月28日付で総務省から「DV加害者の依頼による交付請求は、DV加害者本人からの請求と同視する」という通達があるのですが、役所の不備で発行されるケースがあり問題となっています。
住民票はコンビニでも発行できますが、閲覧制限をしている場合は役所での発行のみです。
正直、閲覧制限をしても、確実に毒親に住所がバレないとは言い切れません。
執拗にあらゆる手段を使って、あなたの住所を特定しようとする毒親もいるでしょう。
しかし、閲覧制限で住所がバレるリスクはかなり軽減します。
万が一の事態に備えて、住所がバレた際の対処を念頭に入れておくと安心です。
毒親に対する戸籍や住民票の閲覧制限のまとめ
毒親に住所がバレないようにするために、安全に暮らせるためにできる対処法はいくつかあります。
支援措置(住民基本台帳事務における支援措置)は、戸籍や住民票の閲覧制限は有効的な対処法の一つです。
まずは管轄の役所や警察へ「閲覧制限に関する手続き」について問い合わせて、必要な手続きを行いましょう。