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海外出産は子供の国籍に注意!出生届や戸籍の手続きを解説

海外出産の出生届と国籍の手続き
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海外出産すると子供の戸籍や国籍の手続きはどうすればいいのでしょう。

子供を海外出産しても日本国内で出産した時と同じように、戸籍の出生届の手続きが必要です。

海外出産は出生届だけでなく同時に国籍の手続きも必要で、子供が重国籍となる場合は絶対に忘れてはいけない手続きです。

出生届と国籍の手続きを行わないと、海外出産した子供は日本国籍を失ってしまいます。

さらに、子供の海外出産は出生届や国籍の戸籍の手続きも重要ですが、海外出産する国によっても子供が取得できる国籍が変わります。

海外出産する場合はしっかりパートナーや海外出産する国の国籍法を知っておきましょう。

いくら正しく戸籍の出生届や国籍の手続きをしても、下手すると子供が日本の国籍を失ったり、あなたが希望する国籍を子供が取得できないことになりかねません。

ここでは、海外出産に必要な子供の国籍や戸籍の出生届の手続きについて解説します。

実際に外国人パートナーとの子供の国籍が変わってしまっていた実例も紹介しており、万が一、子供を海外出産して日本の国籍を失ってしまった際の手続きについてもまとめていますよ!

子供の海外出産の注意点!国籍のルールと例外

海外出産は出生届と同時に国籍の手続きが重要ですが、出生届手続きの前に知っておくべき国籍のルールがあります。

国籍のルールは原則のルールと例外があり、海外で子供を出産する場合は例外に注意が必要です。

海外出産の原則的な国籍法の内容

子供を海外出産した場合、その国で戸籍の出生届と国籍の手続きを行いますが、出生届を出した国の国籍を必ずしも取得できるわけではありません。

パートナーの国籍や子供が出生した国によって国籍のルールが異なり、大きく「生地(せいち)主義(出生地主義)」と「血統主義」の2つがあります。

父系血統主義

子供が出生した国に関係なく父親の血統を優先し、出生した子供は父親の国籍を受け継ぐことができます。父系血統主義は中東諸国に多く、日本の国内出産も海外出産も子供は重国籍になりません。
イラン・イラク・インドネシア・アラブ首長国連邦・サウジアラビア・エジプト・シリア・レバノン・モロッコ・スーダン・スリランカなど

父母系血統主義

子供が出生した国に関係なく、父または母のどちらかの国籍を取得する方式です。日本だと両親の片方が日本人なら海外出産であっても日本の国籍が取得でき、子供は重国籍となります。
日本・中国・韓国・タイ・フィリピン・スペイン・イタリア・ノルウェー・スウェーデン・オーストリア・フィンランド・アイスランド・デンマーク・イスラエル・ポーランド・スロバキア・ガーナ・ギリシャ・チェコなど

生地主義

生地主義(出生地主義)とは両親の国籍とは関係なく、海外出産で生まれた国の国籍を取得できるものです。子供は重国籍となり、日本人同士なら二重国籍、イタリア人と日本人の子供をアメリカで海外出産すると、子供の国籍は三重国籍の取得が可能です。
アメリカ・カナダ・イギリス・フランス・ニュージーランド・パキスタン・パラグアイ・ペルー・ブラジル・ドイツ・アイルランド・アルゼンチンなど

父母系血統主義+生地主義

基本的に生地主義や血統主義の国でも、条件付きで父母系血統主義と生地主義を併用している国もあり、ヨーロッパで多くみられます。イギリスだと親がイギリスの永住許可を持っていれば、他国で海外出産した子供はイギリスの国籍が取得でき、ドイツなら定住している外国籍の親の子供はドイツの国籍を取得でき、成人したら親の国籍と選べるようになっています。
イギリス・オーストラリア・ドイツ・フランス・オランダ・ロシアなど

例外的な海外出産の国籍法のルール

子供を海外出産する場合は国によって国籍法の例外に該当するので、海外出産後の手続きに注意しましょう。

海外出産で該当する国籍法の例外
  1. 他国での海外出産で国籍を付与しない
  2. 他国での海外出産は申請により国籍を取得する

①は両親の国籍以外の国での海外出産は子供にその国籍を付与しないというものです。

例えば中国がこれに該当し、中国人と日本人の子供を中国以外の国で海外出産した場合は、子供は中国籍を取得できません。

中国も原則的に父母系血統主義ですが例外で「中国国籍の親が海外に定住している」「子供が出生と同時に他国の国籍を取得する」この条件に該当する場合は二重国籍とはなりません。

②は両親の国籍以外の国での海外出産は、申請によって国籍を取得できるというものです。

自動的に国籍が付与されず、他国で海外出産して自国の国籍を子供に与えたい場合は、出生届の手続きをしてから自分で国籍の手続きを行う必要があります。

例えばロシアがこれに該当し、日本人とロシア人の子供をロシア国外で海外出産して出生届の手続きをしても、自動的にロシア国籍を取得できず、申請することで取得できる仕組みです。

①は重国籍にならず日本国籍のみになります。

②の場合は一見、ロシア国外で海外出産しても出生届の手続き後に子供はロシアの国籍を取得でき、日本の国籍も取得できるので二重国籍となるように感じますよね。

日本の国籍法は父母系血統主義なので、どの国で海外出産しても出生届を出せば戸籍を作成でき、両親の片方が日本の国籍なら子供も日本の国籍を取得できます。

ですが、日本にも国籍法の例外があり、「自己の志望で外国の国籍を取得すると日本の国籍を失う」というルールがあります。

つまり、あなたのパートナーが②の国籍法の例外に該当する場合は出生届を出しても重国籍とはならず、パートナーの国籍を子供が取得してしまうと子供は日本の国籍を失うということです。

このような日本や海外の国籍法の例外を知っていないと、海外出産することで子供の国籍が外国に変わってしまったり、日本の国籍を失ってしまうのです。

海外出産で子供が日本の国籍を失った例

ロシア人(妻)と日本人夫婦の子供が日本で出生し戸籍の出生届の手続きを完了。

その後、子供がロシアと日本の二重国籍になると思い、パスポートにロシア国籍の併記の手続きを申請。

その申請によって気付かぬ間に子供は日本の国籍を失ってしまっていた。

>>西新宿ビザサポートセンター

このケースは、ロシア人の妻が日本で海外出産し出生届の手続きを行いました。

その後、子供の国籍が二重国籍になるという勘違いによって、意図せず日本の国籍を失ってしまいました。

日本で出生届の手続きを行って子供の戸籍もあるのに、なぜ子供が日本の国籍を失ったのでしょう。

これは戸籍の出生届の手続きは問題ないのですが、二重国籍のパスポート併記の手続きが原因です。

日本もロシアも国籍法では原則的に血統主義です。

日本で子供が生まれると自動的に日本の国籍を取得し、ロシアでは例外としてロシア国外で海外出産した子供に自動的にロシア国籍が与えられません。

ロシア人と日本人夫婦の子供をロシア国外で海外出産すると、出生届の手続き後に申請すればロシアの国籍を取得できますが、その手続きを行えば日本の国籍を失うため二重国籍とはならないのです。

実は夫婦が二重国籍と勘違いして行ったパスポートの手続きは、単なる子供の二重国籍のパスポート併記の申請ではなく、実はロシア国籍の取得の手続きだったのです。

出生届の手続きをしていないと日本の国籍を喪失しますが、手続きしていても子供の二重国籍のパスポート併記の手続きによって、子供がロシアの国の国籍を取得してしまい、日本の国籍を失ってしまいました。

海外出産の子供の出生届や国籍を喪失しないための手続き

海外出産で日本の国籍を失わないために重要な戸籍の手続きとして、出生届と国籍の手続きがあります。

出生届や国籍の手続きは期日が決められているので、なるべく早く行いましょう。

この2つの戸籍の手続きを同時に行えば、子供が日本の戸籍を取得し国籍を失うことはありません。

戸籍の出生届と国籍留保の手続きを行う

日本では日本人が海外出産しても、子供が日本の国籍を取得することができます。

ですが、忘れてはならない手続きが海外出産した後の出生届と国籍留保の手続きです。

まず、海外出産で子供が産まれたら、現地国と日本の両方に3ヵ月以内に出生届を出します。

出生届の手続きが1日でも遅れると受理されません。

※3ヵ月というのは日本に出生届を出す期間で、海外での出生届の手続き期間はもっと短いことがあります。日本で出産する場合は14日以内に出生届を提出します。

そして、海外出産した国の国籍法により、子供が日本以外の国籍を取得して重国籍となる場合は、国籍留保の手続きも出生届と同時に行いましょう。

ロシアのように海外出産で自国の国籍を与えられず、日本以外の国籍を取得しない場合は不要です。

海外出産で重国籍とならない場合は、戸籍の出生届の手続きのみです。

出生届を出すことで日本の国籍が取得でき、子供が重国籍になる場合は出生届と同時に国籍留保の手続きを行うことで、子供がどちらの国籍を選ぶのか22歳まで留保できるのでその間は子供は二重国籍状態となります。

出生届の手続きの期間が3ヵ月ありますが、これはとても長いように感じますが、海外出産で海外から子供の出生届を出すのに1ヵ月以上かかることが普通にあります。

日本の戸籍(謄本・抄本)への反映も、出生届を出してから数週間から2ヵ月程度かかります。

たとえ3ヵ月以内に出生届や国籍留保の手続きを行ったとしても、3ヵ月の期間に出生届の手続きが完了しないこともあります。

あっという間に過ぎてしまうので、とにかく早く出生届と国籍留保の手続きしましょう。

未成年の子供の二重国籍は22歳まで選択の猶予がありますが、22歳までに国籍を選ばなければ日本国籍を失います。

全豪オープンで日本人初の優勝を果たした大阪なおみさんも日本とアメリカの二重国籍でしたが、22歳になる2019年に日本国籍の手続きを行っています。

海外出産の出生届・国籍留保の手続きと必要書類

  • 手続き場所
    ・日本大使館や領事館、もしくは本籍地の役所(自治体によって郵送可能)
  • 届出人
    ・父か母
  • 必要書類
    ・出生届書(ダウンロードもしくは大使館や領事館に備え付け)
    ・外国官公署発行の出生登録証明書または医師作成の出生証明書の原本
    ・同和訳文

>>戸籍・国籍関係の届出について|外務省

手続きは出生届を現地国の大使館・領事館、本籍地の役所に提出し、出生届にある「日本国籍を留保する」という欄に署名と捺印するだけです。

必要書類は国によって変わるので、大使館で確認しましょう。

海外出産で日本に帰国する場合は、子供のパスポート申請の手続きも行いましょう。

二重国籍の方は出国の際に現地国のパスポート、日本へ入国するために日本のパスポートが必要です。

パスポート申請は日本大使館・領事館で行い、「一般旅券発給申請書・写真・戸籍謄本(抄本)・出生証明書」を提出します。

海外出産で出生届を提出する際に、子供のパスポート申請の必要書類について大使館などで確認しておきましょう。

戸籍謄本(抄本)は出生届を提出して子供の情報が反映されてから、家族に頼んだり役所へ直接請求して、日本から海外へ取り寄せます。

>>パスポート申請書ダウンロード|外務省

相手の国以外での海外出産は国籍法に注意

海外出産で出生届や重国籍になる場合は国籍留保の手続きを行いますが、手続きを行う前に海外出産はとにかくパートナーや出産する国の国籍法を理解しておくことが何よりも重要です。

出生届や国籍留保の手続きを行う前に国籍法でチェックするべき内容は、「今の条件(海外出産の場所やパートナーの国籍)で子供が出生すると相手の国籍が自動的に取得できるのか」です。

日本では海外出産しても自動的に子供は日本の国籍を取得できますが、国籍法の例外に該当するとパートナーの国の国籍も同時に取得できません。

自動的に子供がパートナーの国の国籍が取得できないということは、子供は二重国籍とはならず日本の国籍のみを持つことになります。

逆を言えば、国籍法の例外に当てはまると、パートナーの国籍を取得した時点で日本の国籍を失ってしまうということです。

いくら海外出産で正しく戸籍の出生届や国籍留保の手続きを行っても、実例で紹介したロシアのケースのように日本国籍を喪失するような事態になりかねません。

もし海外で生まれた子供の戸籍の出生届や国籍やパスポートなど、何らかの手続きを行う際は「子供がパートナーの国籍を取得してしまわないか」その都度必ず確認しましょう。

出生届や国籍留保など海外出産した後の手続きは、パートナー任せにしないことも大切です。

出生届を出し忘れたら?海外出産で子供が国籍を失った際の手続き

海外出産で出生届の手続きを忘れたり、出生届や国籍留保の手続きをしたけど日本の国籍を失ってしまった。

このような理由から子供が日本の国籍を失ってしまっても、条件に該当すれば再度日本の国籍を取得できる戸籍の手続きがあります。

出生届の出し忘れは再取得の手続き

万が一、出生届の提出や国籍留保を忘れて子供が日本国籍を失ってしまった場合は、国籍の再取得が可能です。

20歳未満の未成年に限り「国籍の再取得」という救済制度があり、条件に該当すれば、子供は日本の国籍を再取得することができます。

国籍留保や出生届の出し忘れによる国籍の再取得の条件
  • 子供が20歳未満であること
  • 日本に住所があること
    (最低でも6か月程度は国籍再取得の届出の時に日本に住所があること。観光や一時期帰国は認められない)

これは国籍留保で「国籍の選択をしてくださいね」という催告を受けたが、22歳までに国籍を選択しなかった場合も、催告から1年以内であれば日本の国籍を再取得が可能です。

ただし、日本の国籍を取得すると他国の国籍を失います。

子供の国籍再取得に必要な書類と手続き

  • 手続き場所
    ・国籍を再取得する者の住所地を管轄する法務、もしくは地方法務局
  • 必要書類
    ・国籍取得届
    (提出先に備え付けている)
    ・本人出生時の父または母の戸籍謄本
    ・出生証明書、分娩の事実を証する書類
    (外国語の書類は和訳が必要)
    ・登録原票記載事項証明書又はパスポート
    (再取得者の住所の証明として必要)
    ・戸籍謄本や証明書
    (本人以外が手続きをする場合に代理人の資格の証明として必要)
  • 届出人
    ・15歳以上は本人
    ・15歳未満は親権者や法定代理人

>>国籍再取得の届出|法務省

日本国籍の再取得の手続きは必要書類を法務局へ提出し、その後に役所か大使館へ下記の必要書類を提出します。

  • 手続き場所
    ・再取得者の本籍地・住居地の管轄の役所・日本の大使館のいずれか
  • 届出人
    ・国籍取得者本人、または代理人
  • 必要書類
    ・国籍取得届
    ・国籍取得証明書
    ・国籍取得前の身分事項を証すべき書面

20歳を超えた子供は帰化で戸籍を取得

海外出産で出生届や国籍留保の手続きをしても、日本国籍を失ってしまうケースもあります。

20歳を超えた子供や国籍の再取得の条件に該当しない場合は、外国人として帰化の手続きを行うしかありません。

帰化することで日本の国籍を取得でき、戸籍を作成できます。

国籍の再取得よりも時間がかかったり条件が厳しくなりますが、どうしても日本の国籍が欲しいという場合は帰化を検討しましょう。

結婚していない場合の子供の国籍は、日本人が子供を出産した場合は日本の国籍が与えられます。

しかし、日本人が父で外国人が母の場合は認知の有無やタイミングで国籍が変わります。

婚姻していなくても、父から胎児認知(生まれる前に認知)されている場合は、子供は日本の国籍を取得できます。

認知の手続きをせず、婚姻前に生まれた日本人の父と外国人の母の子供は、日本の国籍を自動で取得できません。

婚姻前で出生後に子供を認知、もしくは認知したものの父と母が婚姻しない場合は条件に該当すれば日本の国籍を取得することが可能です。

>>認知された子の国籍再取得の届出

子供の海外出産による戸籍の出生届と国籍の手続きのまとめ

海外出産は戸籍の出生届と国籍留保の手続きをお忘れなく!

海外出産したからといって、自動的に子供が日本の国籍を失ったり、重国籍となるわけではありません。

国によって国籍法のルールが異なり、特に海外出産の場合は例外に注意して手続きしましょう。

子供を海外出産する場合は、パートナーの国の国籍法をしっかり確認してくださいね。

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