外国人の方々が日本で生活する上で、通称名の使用は非常に重要な役割を果たします。
ここでは、通称名の基礎知識から通称名の登録手続き、活用法、そして注意点まで、外国人居住者に必要な情報をお伝えします。
通称名を正しく理解し、適切に活用することで、外国人の日本での生活がより円滑になることでしょう。
知っておくべき通称名の基礎知識
外国人の方が通称名を申請する際には、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。
まずは、通称名に関する基本的な知識から見ていきましょう。
通称名の定義と法的位置づけ
通称名とは、外国人が日本国内で日常的に使用している、本名とは異なる名前のことです。
多くの場合、外国人の本名は日本語での読み方や表記が難しいことがあります。
そのため、日本社会での生活をより円滑にするために、日本語で読みやすく、書きやすい名前を通称名として登録することができます。
通称名の法的根拠は、住民基本台帳法施行令に基づいています。
この制度により、外国人居住者は公的な場面でも通称名を使用できる場合があります。
ただし、通称名は戸籍には記載されず、法的には本名が優先されます。
外国籍の方が日本で生活する場合、通称名(通名)を使用することがあります。
しかし、日本国籍を取得しない限り、戸籍は作成されません。
帰化(日本国籍の取得)をすると、新たに戸籍が作成されますが、その際にも通称名は戸籍には記載されません。
戸籍に記載されるのは、帰化後の本名(日本名)となります。

通称名が必要となる背景
通称名が必要となる背景には、本名の読み方や表記が難しい場合や、文化的な理由で日本語の名前を使用したい場合などがあります。
就職活動や日常生活での便宜を図る目的でも利用されています。
通称名とは?外国人の登録手続き
ここから通称名の登録手続きについてみていきましょう。
必要書類と証明資料
通称名の登録手続きは、居住地の市区町村窓口で行います。
必要書類には、在留カード、パスポート、そして通称名の使用実績を証明する資料(社員証、学生証など)が含まれます。
登録可能な文字と制限
登録可能な文字は原則として、ひらがな、カタカナ、常用漢字に限られます。
繁体字および簡体字、アルファベット、ハングル、欧文文字、記号等は通称として使用できません。
これらの制限は、日本人が戸籍に記載できる文字と同様の基準を適用しているためです。
例外として、日本国籍の親や配偶者の氏に俗字が使われている場合、その文字を通称に使用することが認められる場合があります。
通称名の登録は、日本での社会生活をより円滑に行うためのものであり、読みやすさと書きやすさを考慮して、これらの文字制限が設けられています。

市区町村窓口での申請方法
- 本人確認書類
在留カード、特別永住者証明書、マイナンバーカードなど - 通称名を日常的に使用していることを証明する資料
社員証、学生証、公共料金の請求書、預金通帳など(2点) - マイナンバーカード(持っている場合)
外国人の通称名の申請は市区町村役場で手続きができます。
その際、通称名の使用理由や使用期間などを詳しく説明する必要があり、虚偽の申請や不正な目的での使用は認められません。
通称名の登録は任意ですが、登録することで住民票やマイナンバーカードにも記載されるため、さまざまな場面で活用できるようになります。
登録された通称名は住民票に記載されますが、在留カードや特別永住者証明書には記載されません。
通称名のメリットと活用法
- 日常生活での便利さ
- 就職活動や契約時の利用
- マイナンバーカードと通称名
通称名は外国人居住者の日常生活を大幅に円滑化します。
就職活動や契約時に日本式の名前を使用することで、コミュニケーションがスムーズになり、書類作成も容易になります。
また、マイナンバーカードに通称名を記載することで、行政サービスや金融機関での手続きが簡便になります。
日常生活では、郵便物の受け取りや公共料金の支払いなど、多くの場面で通称名が活用できます。
特に、会社や学校での使用は一般的で、社員証や学生証に通称名を記載することが可能です。
ただし、通称名の使用には制限があります。公式な届け出や法的書類では本名を使用する必要があるため、状況に応じて使い分けることが重要です。
外国人の通称名の変更と削除
外国人が登録した通称名を削除したり、変更する際の注意点をみておきましょう。
変更が認められる条件
通称名の変更は原則として認められませんが、特定の条件下では可能です。
例えば、日本人との婚姻により配偶者の氏を名乗る場合、通称名の氏のみを変更できます。
通称名の削除は本人の意思により可能ですが、一度削除すると同じ通称名の再記載は原則できません。
削除を希望する場合は、市区町村の窓口で手続きを行います。

通称名の削除と変更手続きの注意点
通称名の変更や削除の手続きには、本人確認書類(在留カードなど)が必要です。
また、代理人による手続きの場合は、委任状や代理権を証明する書類が求められます。
通称名の変更や削除を検討する際は、将来的な影響を慎重に考慮し、必要に応じて市区町村の窓口に相談することをお勧めします。
通称名使用の注意点
通称名の使用には注意点があります。
使用可能な範囲や制限、在留カードとの関係、そしてトラブルを防ぐための対策についてご紹介します。
使用可能な範囲と制限
通称名は日常生活で広く使用できますが、公的機関での使用には制限があります。
住民票、健康保険証、マイナンバーカード、運転免許証には記載可能ですが、在留カードやパスポートには記載できません。
使用できる文字は日本人の戸籍に記載可能な平仮名、片仮名、漢字に限られ、アルファベットや記号は使用不可です。
在留カードとの関係
在留カードには通称名は記載されません。
このため、在留カードと他の身分証明書で名前が異なる場合があります。
トラブルを防止しよう
- 通称名登録前に十分な使用実績(6ヶ月以上)を作る
- 登録時は複数の証明書類を用意する
- 公的機関では本名と通称名の関係を説明できるようにする
- 職場や学校では事前に通称名使用の許可を得る
- 通称名が使用できない場面を知っておく
(在留カードや法的契約では本名使用が求められる場合がある) - 法的責任がある
(不正使用しない)
外国人にも通称名の使用は法的責任があります。
本名と通称名を適切に使い分けて、不正使用を避けましょう。
「外国人の通称名」登録手続きから活用法までのまとめ
通称名は外国人居住者の日本での生活を円滑にする重要なツールです。
日常生活や就職活動でのコミュニケーションを容易にしますが、使用には法的責任と制限があります。
状況に応じて本名と通称名を適切に使い分け、不正使用を避けてください。
通称名を正しく活用することで、日本での生活がより充実したものになるでしょう。