戸籍に記載されたミスを発見したとき、多くの人は「面倒くさそう」「専門家に頼まないと無理かも」と思いがちです。
しかし、戸籍の簡単なミスなら自分で訂正できます。
専門家に依頼すると高額な費用がかかる可能性がありますが、自分で手続きを行えば時間と費用を大幅に節約できます。
ただし、重大な訂正の場合は家庭裁判所の許可が必要になるなど、注意点もあります。
ここでは戸籍の軽微な誤字を自分で訂正する方法をお伝えします。
戸籍訂正の種類やミスの訂正に必要な書類、具体的な手続きの流れ、かかる費用などについてみていきましょう。
軽微な戸籍の誤字脱字は自分で訂正可能
戸籍の簡単なミスは、多くの場合は自分で訂正することが可能です。
軽微な誤字脱字は自分で訂正申請可能
軽微な戸籍の誤字脱字の場合、市区町村の戸籍担当窓口で訂正申請を行うだけで手続きが済みます。
例えば、戸籍に記載されている漢字の書き間違い、住所の番地の誤りなどがそれに該当します。
重大な戸籍の訂正は家庭裁判所の許可が必要
戸籍にある身分関係に影響を与えるような重大な訂正の手続きは、家庭裁判所の許可が必要となります。
例えば、生年月日の誤りなどがこれに該当します。
戸籍に登録されている名前の訂正は、重要な戸籍の訂正となります。
ただし、戸籍の名前が誤字・俗字・正字のどれなのか、状況によって市区町村役場で簡単に訂正できる場合と、家庭裁判所での手続きが必要な場合があります。

戸籍の簡単なミスの例と対応
よくあるケースとして、自分で訂正の手続きができる、戸籍のミスの例を見ていきましょう。
住所の番地の誤りの訂正
転居時の届出や戸籍の編製時に、役所の手違いなどにより、番地が間違って記載されることがあります。
発見時は、市区町村の戸籍担当窓口に相談し、訂正申請の手続きを行います。
漢字の書き間違い
名前の漢字が誤って記載されることがあります。
似ている漢字での間違いで起こりやすく、他にも誤字や俗字などを訂正したいというケースがあります。
漢字の訂正は、前述したようにその人の状況によって、市区町村の戸籍担当窓口で訂正できる場合とそうでない場合があります。
戸籍には名前の読み方の記載はないですが、それを訂正(ふりがな)したり変更するなら、今なら役所での手続きで済みます。
しかし、2025年5月に改正戸籍法が施行されるため、戸籍のふりがなが法制化されます。
その影響で今後は名前の読み方を変更するののはもちろん、訂正に関しても家庭裁判所の許可が必要になる可能性があります。
>>戸籍の読み方だけの変更が厳重化!?フリガナの改名は要注意
生年月日の数字の誤記
出生届の際に、日付の数字を間違えて戸籍に記載してしまうケースがあります。
これは重大な訂正に該当する可能性が高く、家庭裁判所の許可が必要になる場合があります。
戸籍訂正とミスの種類とは?軽微な訂正と重大な訂正
戸籍の訂正の種類についてもう少し詳細を見ていきましょう。
役所で対応可能なミスの種類
軽微な訂正とは、戸籍の記載自体から訂正すべき事項が明白な場合です。
役所のミスで戸籍に記載ミスがあった場合は、市区町村の戸籍担当者が法務局長等の許可を得て職権で訂正できます。
- 戸籍の誤字脱字の訂正
- 転籍後の記録の誤り
- 戸籍に記録されるべきでない内容の削除
- 妻の氏を称する婚姻の届出で、誤って夫を筆頭者として新戸籍を編製した
このようなケースがあります。
重大なミスの訂正
重大なミスの戸籍訂正とは、身分関係に重大な影響を及ぼす可能性がある場合です。
戸籍の根本的な内容に関わる訂正が該当します。
- 親子関係
(戸籍上の母親と子供の間に実際の親子関係がないなど) - 婚姻の無効や取消し
- 養子縁組の無効や取消し
- 認知の無効や取消し
- 出生届の無効
(虚偽の出生届による子の記載など)
これらの重大な戸籍のミスを訂正するためには、単に戸籍の記載を変更するだけではありません。
法的な身分関係そのものを変更することになるため、慎重な審査が必要となります。
戸籍の訂正をするためには、家庭裁判所へ申請をして許可をもらう必要があります。
自分で簡単な戸籍のミスを訂正する手続き
戸籍の簡単なミスを訂正する際の必要書類は、訂正内容によって異なります。
よくあるミスのケースとして、住所の番地訂正、生年月日訂正、名前の誤字訂正に分けて必要書類をまとめます。
なお、全ての書類は原本が必要です。
手続きをする市区町村役場によって要求される書類が異る場合があるため、事前確認をお勧めします。
いずれの手続きも必ず市区町村役場で簡単に訂正できるわけではなく、役所側に責任があり、ミスや手違いがあった場合に限ります。
届出者の記載ミスなどの場合、軽微とされるミスの訂正も重大な訂正と同様に、まずは家庭裁判所での手続きが必要となり、追加の書類や費用が発生する可能性があります。
>>住所を間違えて届けたとき(住所訂正)-阿蘇市ホームページ
住所や番地訂正
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 戸籍謄本(発行後3ヶ月以内)
- 正しい住所が記載された住民票の写し
- 住民異動届(住所修正の届出)
生年月日訂正
- 本人確認書類
- 戸籍謄本(発行後3ヶ月以内)
- 出生証明書
- 戸籍訂正申請書
- 戸籍附票(必要に応じて)
- 家庭裁判所の許可書(申し立てた場合)
名前の誤字訂正
- 本人確認書類
- 戸籍謄本(発行後3ヶ月以内)
- 正しい表記を証明できる公的書類(出生証明書など)
- 戸籍訂正申請書
- 家庭裁判所の許可証(申し立てた場合)
重大な戸籍のミスの訂正に必要な手続き
戸籍の重大な訂正の場合、家庭裁判所での手続きが必要です。
どんな記載ミスを訂正するのかによりますが、一般的な手続きに必要な書類をまとめています。
- 戸籍訂正許可申立書
- 訂正すべき戸籍謄本(全部事項証明書)
- 申立人の戸籍謄本(申立人が訂正すべき戸籍に記載されていない場合)
- 訂正の根拠となる証拠書類(状況に応じて異なる)
- 収入印紙800円分(訂正すべき原因1つにつき)
- 連絡用の郵便切手
具体的な事例ごとの追加書類の参考例
- 親子関係の否定
DNA鑑定結果や医療記録など - 婚姻の無効や取消し
婚姻時の状況を証明する書類 - 養子縁組の無効や取消し
縁組時の状況を証明する書類 - 認知の無効や取消し
認知時の状況を証明する書類 - 出生届の無効
実際の出生状況を証明する書類
重要なミスの訂正も自分で手続きを行うことができ、時間と費用を節約できます。
しかし、複雑なケースや自信がない場合は、相談することをためらわないでください。
正確な戸籍情報を維持することは、将来的なトラブルを防ぐ重要な一歩となります。
不安な点がある場合は、市区町村の戸籍担当窓口や士業に相談してみましょう。
戸籍の簡単なミスを自分で直す!誤字と脱字の訂正方法のまとめ
戸籍の簡単なミスは、多くが自分で訂正することができます。
住所の番地の誤り、名前の誤字、軽微な記載ミスなどはよくあるケースですが、必要な書類を準備し、市区町村の窓口で手続きを行うことで訂正可能です。
ただし、生年月日の訂正など重大な変更の場合は、家庭裁判所の許可が必要となることがあります。
戸籍の正確性は重要ですが、人が手続きを行う以上、ミスが出てしまうことがあります。
簡単なミスを発見したら、速やかに訂正しましょう。